【ケゾえもん寄稿】地球に生命が誕生したのは、太陽が超新星爆発によってできた栄養分を持ってきてくれたおかげ

ケゾえもんイメージキャラクター

「神は存在するか? その2」

(ケゾえもん 2023.5.13. 記)
ガイア衛星は望遠鏡を積んでいる。有名なハッブル宇宙望遠鏡やジェームズウェッブ宇宙望遠鏡の主な目的は星の写真を撮ることだが、一方ガイアの目的は望遠鏡で星の各パラメーターを測定することだ。パラメーターとは星の位置、速度、温度、組成、質量、年齢などだ。ガイアは銀河系の1000億の星のうち18億までの上記の数字を測定したと言われているが、それは精度高く測定できたものだけで遠くなれば精度が悪くなるだけで事実上銀河系全体の星の上記パラメーターを全部測定してしまったと言ってよい。

ここで固い話になるが、混乱するので決めておこう。galaxy というのは宇宙での星の集まりのことで、有名なのにアンドロメダgalaxyがある。一方われわれの住んでいる銀河系は英語ではthe Galaxy、our Galaxy、Milky Way Galaxyとか言って区別される。しかし日本語では銀河系と言うことばしかなく、その他の銀河と「系」の一文字だけで区別していてわかりにくい。なので本コラムでは銀河系のことを「われわれの銀河系」とことさら長く呼ぶことにする。

ガイアのおかげでわれわれの銀河系内部の星の速度、位置が全部わかってしまった。これらのデーターはウェブ上で公開されているのでいろいろな人がいじって、おかげでわれわれの銀河系が数億年の間にどう運動するかのアニメーションまで見れるようになっている。

ガイアは星の組成まで調べると言った。ガイアのデーターを検討するとわれわれの太陽とまったく同じ組成の星が13個まで見つかる。したがってこれらの13個の星と太陽は同じ場所で同じ材料から作られたと結論される。それらの星の軌道を検討すると太陽は銀河系の中心から4キロパーセクのところで生まれたと結論付けられるのだ。

キロパーセクという距離の単位はあまり気にしないで欲しい。良く使われる光年で言うと1キロパーセクは3300光年である。だから光年で言うと数字が大きくなってわかり難くなる。だからキロパーセクを使う。

さてわれわれの銀河系の円盤の直径はだいたい30キロパーセクである。だから4キロパーセクというとすごく中心に近い。ここは密度が高く超新星爆発が頻発する危険な場所だ。しかし実はこの場所で太陽が生まれることが生命誕生に必須だった。なぜなら超新星爆発により太陽(太陽系と言い換えてもよい)はいろいろな元素を含むことになったからだ。銀河系の端で生まれた星は水素とヘリウムしか含まない。それでは栄養が足りなくて生命は生まれない。

ここで問題が起こる。今太陽は銀河系の中心から8キロパーセクの安全な場所にいる。太陽は生命を育むためにはどうにかして中心から4キロパーセクの危険な場所から現在の位置に脱出してこなければならなかったのだ。しかしこれが難しい。銀河の中心から半径6.5キロパーセク以内は重力が強く普通なら脱出は不可能なのだ。この6.5キロパーセクをラグランジュ半径と呼ぶ。

太陽は46億年前に中心から4キロパーセクのところで生まれた。そこは宇宙線が飛び交う地獄の釜の中で、生命は誕生することはできなかった。その後太陽はなんとかラグランジュ半径を脱出して旅に出て、およそ30億年前に衛星地球に生命を誕生させた。地球に生命が誕生したのは太陽が銀河中心部分から超新星爆発によってできた栄養分をたっぷり持ってきてくれたからにほかならない。

(続く)
ケゾえもん 記



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