宇宙は変化しているということを発見してパールムッターは2011年ノーベル賞を受賞した。アインシュタインは永遠に変わらない宇宙を切望していたので、この宇宙の運命を知りがっかりしてしまったにちがいない。
以下、2020年10月1日付ケゾえもん寄稿、「宇宙の運命」シリーズの続き。(2,000文字)
※シリーズ1〜5は、検索窓に 宇宙の運命 を入力すれば出てくる。
宇宙は常に変化しているという発見はノーベル賞を受賞した
(文=ケゾえもん)
三角測量の原理で地球から星までの距離を測れると言った。ガイアという衛星を使えば1万5千光年離れた星までの距離を測れると言った。これがどういう三角測量か考えてみよう。
ある星の角度を測り、半年後に同じように角度を測る。
この場合、角度とは太陽との角度だと思う。他に基準点はないから。
この点については良く知らないのでご容赦。
それで、たとえば1光年先の星までの距離を得たい場合、仮にこれを図に三角形を書いて求めようとすると、そして仮に三角形の底辺を1メーターとすると、1光年先の星は約10キロ先にあることになる。だから図に書く方法で三角測量は
しない方が良い。これで1万5千光年離れた星までの距離を図に書いて求めるとすると目標の星は図の上では15万キロ先にあることになり、ガイアがいったいぜんたいどうやって1万5千光年先の星までの距離を三角測量で測れるのか不思議でしょうがいない。
恐るべきかな天文学および工学ということである。
エドウィン・ハッブルはアンドロメダ銀河までの距離をヘンリエッタ・リービットの発見したセファイドを使う方法で測ったと言った。アンドロメダ銀河までの距離は250万光年もある。ではどのくらいの距離の銀河までなら、セファイドを見つけることができるのかというと、現在ではこれが6500万光年というからこれも驚く。つまりこの距離までの銀河の距離は測定できるのだ。ではもっと遠くの銀河までの距離はどうやって測定するのか?
それは宇宙の時限爆弾、Ⅰa型超新星を使うのだ。
二重星でしかも二つの星が接近している場合、片方の星が寿命を迎え膨張を開始するとその星のガスがもう一方の星に流れ込む現象がある。このときガスが流れ込んだ方の星はある一定のガスが流れ込むと超新星爆発する。この原理で超新星になる星をⅠa型超新星と呼ぶ。一定のガスが流れ込んだ時点で爆発するので、いつも爆発規模が同じなのだ。
したがってその超新星の明るさも一定だ。そして天文学者は長い観察でⅠa型超新星が6500万光年以内の銀河で発生した例を観測した。この銀河では多数のセファイドも見つけられた。これでⅠa型超新星の絶対光度がわかった。つまり宇宙のどこでⅠa型超新星が発生しても、そこまでの距離がわかることとなったのだ。
しかし、しかしである。超新星というのはまれな現象である。
ひとつの銀河で数100年に一度程度しか発生しない。どこかの銀河をじっと観測しても数100年ほど待たないとⅠa型超新星は発生しないであろう。
しかし宇宙は広い。写真をみてもわかるが、この写真だけで何千個もの銀河が写っている。いろいろな銀河がとっかえひっかえⅠa型超新星を発生させる。
だからⅠa型超新星ほぼ毎日発生する。矢印で指しているのがⅠa型超新星でこれは宇宙望遠鏡ハッブルが捉えた。ただし望遠鏡の視野は非常に狭いので発見は言うほど容易ではない。
ホカリフォルニア大学のサウル・パールムッターはこの辛くきびしい観測をやってたくさんの銀河までの距離を割り出した。なかには100憶光年先くらいの
銀河もあった。
詳しい説明ははぶくが多数の銀河の赤方偏移と、その銀河までの距離を測定することによって、パールムッターは宇宙が一定の割合で膨張しているのか?はたまた膨張のスピードが落ちているのか調べようとした。
ところが驚いたことに宇宙は「加速膨張」しているということがわかったのだ。
これによりパールムッターは2011年にノーベル賞を授与されている。
宇宙は常に変化している。アインシュタインは永遠に変わらない宇宙を切望し自身の理論でもそういう宇宙を描き出したが、ハッブルの宇宙膨張の発見により、宇宙の運命を知りがっかりしてしまった。
ながーーーーい未来を考えると宇宙はろくなことにならない。
たとえば一定膨張の宇宙だとすると、いつか宇宙は冷えて、星の輝きもなく、物質さえ壊れてなくなり(陽子崩壊)、どこまでも希薄になり、絶対零度まで冷え込み、なにもない世界になってしまう。10の100乗年後くらい後らしい。
しかしね、たった1兆年後はそこまでのことは起こらない。太陽は確実に死んでいるが次々に星は誕生し星々は輝き続けている。新しい星で進化した宇宙人がいたとして、夜空を見上げたら、一見宇宙は今と同じに見えるはずだ。
では宇宙が加速膨張すると、いったい何が問題だと言うのか?
<続く>
(2020年10月1日、ケゾえもん記)