テレビ画面をスマホで写した静止画像は著作権侵害か掲載OKか

 

■参考ページ「テレビの試合中継。写メってツイートするのは著作権侵害??|平林弁護士がアドバイス!SNS法律相談所

例)スマホでテレビ画面(野球中継)を撮影した画像をツイートする。

【結論】画像付きツイートが著作物の「引用」(著作権法32条1項)と認められる場合、著作物侵害にはならない。

著作権法は「公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない」(著作権法32条1項)として、著作権者の許可を得ずに著作物を利用できる場面があることを認めています。そこで、画像付きのツイートが、この「引用」になる場合、著作権侵害にはなりません。

では、どのような場合に、引用と認められるのか。

従来、裁判所は「引用」と認められるためには、
①「明瞭区別性」と
②「主従関係」
という2つの要件を満たさなければならないと判断していました。

「明瞭区別性」というのは、引用される著作物と引用するモノが明確に区別されていることを要求するものです。

また、「主従関係」というのは、あくまで引用するモノ(ホクオの解釈:つまり引用者の主張の内容。)がメインになっていて、引用される著作物(つまり画像)は従属的に出てくるような関係を要求するものです。

https://kakeru.me/twitter/hira-tv-tweet/より

①「明瞭区別性」:ツイート内で(テレビ局の著作物である)画像と、引用者のテキストははっきり分かれているので要件は満たす。

②「主従関係」:画像付きツイートの場合、ツイート内容と画像との関係によってケースバイケースの判断になりますが、画像が「主」で、ツイート内容は「従」と判断されてしまうケースはけっこう多いので注意が必要。

もっとも、近時、この「主従関係」を要求しない裁判例も現れてきています。

これらの裁判例は、条文の文言どおり「公正な慣行に合致」し、「正当な範囲内」といえる場合には「引用」と認められるとし、そういえるかどうかを、利用目的、利用方法・態様、利用される著作物の種類・性質、著作権者に及ぼす影響の有無・程度などを考慮して判断しています。

中継映像の一瞬を撮影した画像をツイートするだけで、とくに営利目的もないのであれば、テレビ局に及ぼす悪影響もとくになさそうな気がしますし、今後、裁判所がこういった新しい判断基準によって「引用」の成否を判断するようになれば、画像付きツイートが「引用」と認められるかもしれません。

https://kakeru.me/twitter/hira-tv-tweet/

 

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