人類は核融合炉が実用化されないとピンチになる(ケゾえもん)

核融合が実現しないとやばい

(2024/5/3 ケゾえもん 記)
30年前に30年後に石油は枯渇すると言われていて、それはかなり的を得た予測だったのだけど、現在そうはなっていない。それは予想を越えて経済的に成り立つ油田が発見されたのが理由で、いずれ石油が枯渇するという事実は今もかわらない。それもそう遠くないうちに・・たぶん100年以内。

原子力もウランに限りがあるので、100年くらいが限度らしい。高速増殖炉が実用化されれば枯渇までの期間は伸びるけれど、核燃料リサイクル処理が非常に汚い作業になり、これはできればやりたくないし、たぶんやるべきでない。

したがって、人類は核融合炉が実用化されないとピンチになる。

核融合は太陽があたりまえにやっているけれど、これは高温、高圧、定常の状態があたりまえに存在するから可能なので、地上でそれをやるのは大変。

地上で水素の核融合をやるには5億度の温度を作らないといけなくて、それは今の人類の技術では無理。この方法は最初からギブアップ。

それでこれはもう1950年ごろにはわかっていたことだけど、重水素(陽子1+中性子1)と3重水素(トリチウム)の核融合反応なら1億度で達成可能と言うことで、それを目指して人類はずーーーっと研究開発をしている。それですでに1億度は達成している。

問題は3重水素のトリチウムが自然界にないことで、トリチウムは原子炉でしか作られない。福島の処理水にはトリチウムだけ残存していて、それを除去するのは難しいのでトリチウムを含んだ処理水を海に流すしかなくて、中国など怒っている。ただし怒っておきながら実は中国はもっと高濃度の汚い処理水を、自分は海に垂れ流している。

どうしてトリチウムの処理が難しい(少なくとも東電が使っている処理装置アルプスでは無理)かというと、水は電子1と陽子1でできている。トリチウムは電子1と陽子1と中性子2でできている。化学反応はその原子が持っている電子で決まるから、つまりトリチウムは普通の水と化学的にはまったく同じで区別できない。

おそらくだけどトリチウム1リットルがあって、喉がかわいて死にかけていたら、それを飲めばとりあえず死なずに済むだろう。ただしトリチウムは放射性なので(つまり安定ではない)放射性障害を受ける。トリチウムの半減期は2.32年でかなり短い。

現在、核融合実験炉では1億度は達成されている。そして重水素とトリチウムを核融合反応させることまでは成功している。ここでトリチウムが手に入り難いから、核融合炉でトリチウムを作ってしまおうと考えているから、ことは難しくなってしまっている。

まず重水素とトリチウムを炉にぶちこんで、電気ヒーターで1億度まで温める。1億度に耐える材料などないから、1億度になると陽子は裸のプラズマになるからそれは磁場で閉じ込める。1億度なので核融合反応が起こりその時に高エネルギーの中性子が発生し、中性子は磁場関係ないから、ばんばん外に飛び出し炉の外壁にぶつかる。炉の外壁の温度があがるからそれを冷却パイプで冷やして、その時回収した熱で発電機をまわす。

ここが大事なところだけど、冷却パイプのまわりにリチウムを仕掛けておく。リチウムに高エネルギーの中性子があたると、トリチウムとヘリウムに変わる。
(エンドサーマル反応 熱は発生しない)
この発生したトリチウムを炉に戻して核融合反応に使おうと、姑息なことを考えていて、これが相当難しい。

実用核融合炉の実現。手に汗をにぎって待つべきだ。

ケゾえもん



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