「神は存在するか? その9」
(ケゾえもん 2023.6.2. 記)
全能の存在は原子のバリエーションを作るのに原子をすこしづつ重くするという方法を使っている。陽子1個で水素、陽子2個と中性子2個でヘリウム、陽子3個と中性子3個でリチウムと段々重くなってくる。これをレゴブロック遊びに例えれば118種類のレゴがあって各ピースのサイズがそれぞれみんな違っていて一番小さいのと比べると大きいのは200倍以上の大きさだということだ。そんな変なレゴブロック遊びは私は美しくないと思うのだ。このことは原子というものはどういう風になっているか書いてある本を読んだ子供のころから変だと考えていた。もちろん子供のころは批判力がないから、大人がそれでいいと思っているのだったらそれでいいんだろうなとは思っていたけど、批判力がついた今は声を大にしていいたい。こんなレゴブロックは美しくない。
この連載その1で人間を作る原子一覧表をお見せした。再掲はしないが人間を作るのに約40種類の原子が使われていてその多くが必須だ。これら原子を見てみると一番軽い水素を1とするとたとえば炭素はその12倍、カルシウムは40倍、鉄は52倍、亜鉛は58倍。人体必須の中では一番重いヨウ素はなんと106倍。こんなものを使って全能の存在はやっと人間を作っている。
ところでバリウムや金は人体に少し必要でヨウ素より重いが必須ではないらしい。これはよかった。バリウムが足りないから飲めと胃の検査でもないのに言われなくて大丈夫そうだし、医者に金不足ですね、もっと一生懸命摂ってくださいと言われてもどうやって金策をしたら良いというのだ。これは冗談。
おそらく全能の存在が生命や人間を作るのに40種類程度の原子が必要だったんだろう、それで軽いピースから重いピースまで200倍以上も重さに差がある変なレゴブロックを作らざるを得なかったのだ。全能の存在がいてそれも結構苦労しているという状況証拠でないか。
だから、我々の宇宙にある40種類の原子は、生命を作るために、それもDNA型生命を作るために苦労して微妙な調整をして特別に設計されたものであって、その結果やっと生命を実現できたんだろうと。
これを私は「原子オートクチュール仮説」と呼びたい。
良くSF小説でシリコン原子中心でできている生物の話が出て来る。シリコンが周期律表で炭素と同じ族だから、しかもシリコンが地球上にきわめて豊富にあるからという発想なのだけど、この宇宙の原子はそんなに柔軟にいろいろなタイプの生命を作れるように設計されていないと思う。
生命の定義とはなんぞやということは昔から言われているが、私が思うに、生命とは自己複製のためのメモリー装置、自己複製のための工場、それらを動かすエネルギー装置の3点セットを初めからすべて持っているものを言うんだと思う。
ここでダーウィンの進化論について言わせてもらいたい。
進化論は確かに一度生命ができてしまってからは成り立つ。しかし生命が最初にできるときは成り立たない。メモリーがないからだ。自然選択の結果を記録できなければ進化はない。しかももっと大胆なアイデアがある。生命のメモリー(われわれはDNAしか知らない)はある程度のスケールがないと自然選択しないというアイデアだ。なぜなら生命の場合、設計図の優劣による生存確率の差で発生する自然選択で進化は行われて、メモリーの書き間違いによる変化で数%の生存確率の変動は常におきる。一方、メモリーのスケールが小さいときには、一度、優のものができたらそれはいつまでたっても圧倒的に優であり、もっと圧倒的に優のものが現れないと順位は入れ替わらない。言葉を変えると細かな生存確率の変動はまったく発生しないし、従って進化はないということ。
それに生物のメモリーというと二重らせんのメカニズムしか思いつかないけれど、これを作ろうと思うと二重らせんをほどく酵素、1本鎖になった部分を再び二重らせんに戻す酵素、二重らせんが使う材料を豊富に供給するメカニズムなど非常にコストがかかる。最初のたとえば数種のアミノ酸からできた生命の赤ん坊は数種のアミノ酸を記述するだけの設計図を作るのにそれだけの手間をかけるかというとどうかなと思う。
つまりはっきり言ってDNAが自然にできた筈がないし、DNAが最初にできたメカニズムを我々はまったく説明できないでいるということだ。単純なものから複雑なものへ、自然選択に任せれば必ず実現するという考えはダーウィンが作った迷信だ。細菌のような単純なものから多細胞生物に自然選択で進化したと言うけれど、細菌からしてすでに上記3点セットを備えた複雑な存在だ。進化論があっても、依然として生命と無生命の間には埋められないギャップがあるということだ。
ところで全能の存在がこの宇宙を生命を作ったとしてそれはピタゴラスイッチ的世界(最初の設定だけ)なのか盆栽的世界(絶え間ない干渉)なのか。
それについてだが太陽系がどうやってできたのか、子供のころ読んだ科学の本では宇宙のどこかで、たまたまガス雲が固まってどうのこうのという図入りの本を読んで(たぶん学校の図書室にあったと思う)でも本当のことは絶対わからないんだろうなと思ったことがあるが、実は太陽ができた経緯まで今ではわかっている。
ケゾえもん
続く
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