(最終更新日:2020年5月7日)
アメリカの医師ふたりが、コロナによるロックダウンや隔離政策は断じて不要、健康な人は今すぐ元の生活に戻るべきであるとして、スウェーデンのコロナ政策を強力に支持する内容の発言をした。
日本のメディアが伝えるスウェーデン
ヨーロッパで唯一、ロックダウンや隔離政策をしないまま現在に至るスウェーデンのことが、日本でもよくとりあげられているようで、日本からいろいろな情報や質問をもらう。
以下は新聞の写メ。
以下はニュースの動画。
”スウェーデン「集団免疫」獲得の兆しか(20/04/22)”(49秒)
スウェーデンのコロナ政策に賛成する人もいれば、スウェーデンはかなり乱暴なやり方をしているとか、スウェーデンはギャンブルをしていると思っている人もいるようだ。
そんな中、スウェーデンのやり方が、科学的データと臨床的知見から理にかなったものであるときっぱりと述べる医師が現れ、カリフォルニアで緊急記者会見が開かれた。
アメリカの医師、「今すぐ閉鎖をやめるべき」と主張。
1. 記者会見の様子
記者会見を開いたのは、カリフォルニア州のふたりの医師、ダン・エリクソン(Dr. Dan Erickson)とアルティン・マシヒ(Dr. Artin Massihi)。ウィルス性の呼吸器感染症の臨床医として40年の経験を持つ。
「未知のウィルスが発見されて何もわからなかった当初は、慎重な行動を取ることも必要だったが、数ヶ月が過ぎ、いろいろなことがわかってきた今、ロックダウンを続けることは害の方が利よりも断然大きい」というのがふたりの意見。
記者会見の場で、ロックダウンが正当であるという方向になんとか持って行こうとする記者陣の態度は、攻撃的・感情的ともいえるものだったが、ふたりの医師は終始冷静で、ひとつひとつの質問やコメントに対し理路整然と明快に回答した。
この記者会見動画を見たアメリカ人の感想(Youtube内のコメント)は一様に、「記者陣が論破された」、「明らかな記者陣の負け」と医師たちに軍配をあげるものだった。
2. 医師の主張
●新型コロナウィルスの広がりは、予想以上に早かったが、致死率は予想以上に低かった。
●死因がコロナと言われていても、実際には死因は合併症(肺気腫、腎炎、リウマチ、心臓病、HIVなどの免疫不全)によるもので、コロナだけが死因のケースはない。
●隔離というのは、症状のある人にすることであって、健康な人にすることではない。
●これほどの人権を奪うような行為をするからには、よっぽどの理由がなければならないが、今の政府の方針は、科学的根拠のない理論にもとづいて決められている。
●医学における決定はデータに基づいて行われるべきである。20年も臨床から離れているアカデミック畑の専門家が机上の理論でああしろこうしろと言うのに従うのはどうなのか。
●経済活動をストップさせて、2年かけてすべての人がワクチンを摂取するまで待つことはあまりにも非現実的である。
●ロックダウンによって生じている二次被害が深刻である。経済的打撃をはじめとする、家庭内暴力、自殺、強姦、児童虐待、アルコール依存症、こうした問題は、コロナの期間が過ぎても一生の傷になることを忘れてはならない。
●病院が通常業務を行える状態に戻さなくてはならない。現在、隔離されている医師や看護婦を現場に戻さなければ病院が回らない。
●症状がない人は、引きこもらなくてよい。無症状感染していて人に移してしまうことを心配するなら、それはインフルエンザだって同じである。
●健康で、併存疾患もなく、免疫不全もなく、高齢でもなければ、マスクや手袋の着用も必要はない。それどころか、マスクや手袋によって、他の病気から守ってくれる細菌フローラが減少し、免疫力が下がってしまう。
●インフルエンザと同様に扱うのが適当である。つまり症状のある人だけが自宅で安静にすればよい。
●隔離解除のために必要なデータはそろっているのに、解除宣言が出ないのはなぜなのか。地元の保険当局長等々、医療関係のリーダーたちは自分の意見に同意し、公的な隔離解除宣言が出るのを待っている。
●ステイホームは矛盾だらけ。大型スーパーに行けて、教会には行けないなど、まるで理屈に合っていない。
●まずは、子供たちを学校に戻そう。小さなカフェやレストランがも再開させ、様子をみながらイベントも再開していこう。
・・・などなど。
ノルウェーとスウェーデン
ふたりの医師は、ロックダウン政策をしているノルウェーと、していないスウェーデンが比較にふさわしいとして両者のコロナ感染率や死亡率の統計値を比較して示している。
そして、ノルウェーの方がわずかによい値を示しているものの、ノルウェーで隔離政策によって生じている失業、石油会社の破産、医師不足等々の深刻なダメージを考えたとき、この僅差は、決して隔離政策を支持するものにはならないと言っている。
ノルウェーとスウェーデンは、このようにぴったり隣接しており、文化的にも極めて似ている。(言葉もそっくり。)
消されたYoutube
このブログは4月27日に公開したが、翌日の28日、この記者会見のノーカットバージョンが、5日間で600万回再生されたあとYoutubeから削除されていた。
・・・そして、その半日後、ついさっきまであって、このブログページにも貼り付けていた記者会見の短縮版Youtubeも消されていた。(下の画像。タイトルだけ残っているが中身はない。)
●4月29日、追記
同じ動画をまた別の人がYoutubeにアップしていると聞いて開いてみたところ、20時間前にアップされて再生回数138,000になっていた。1,600ものコメントがあったが、ホクオの目に入ったものの多くが、オリジナル動画削除に対するYoutubeへの抗議だったり、「どうせまた消されるから、今のうちに自分のパソコンにダウンロードして拡散しよう。」というものだった。
Youtubeはスポンサー等の顔色も伺わないといけない一企業であり、またWHOの方針に合わない内容の動画は許可しないと公言してもいるそうだ。いずれにしろ、内容にダメ出しするのはYoutubeの勝手なので文句は言えない。なるほど。
とはいえ、この記者会見動画に問題があるというのはまったく腑に落ちない。この医師たちはたんに自分らの意見を世間に公表し、議論しようと投げかけているだけだし、情報を求める視聴者がその情報をどう判断するかは視聴者次第だと思うが。
世間知らずだったホクオ、長い続編ブログの最後に、「医師たちの見解に対する批判」の項目を追加。世の中が少し見えてきた。
■参考(英文):
“Open Up Society Now, Say Dr. Dan Erickson and Dr. Artin Massihi” (American Institute for Economic Research)
この英文記事の翻訳ページはこちら。
※上の記事内に埋め込まれた記者会見(英語)はYoutube媒体ではないので消される心配がない?
→5月1日、念の為に確認したところ、なんの媒体だったか確認しなかったが削除されていた!そしてさらに別の媒体を通じてまたアップされていた・・・。
おまけ:ホクオのコロナ・ナウ
本日(2020年4月27日)の日本からのメール:
「個人的には、スウェーデンのとっている戦略がウィルスの性質を考えると最も妥当なのかなとは思いますが、実際に暮らしている方からすると戦々恐々なのでしょうか。」
ホクオの感じる限り「戦々恐々」ムードは、あまりない。自分も周りも、気をつけながらふつうに暮らしている。(と思いきや、そうとも言えなかった。文末の追記参照。)
ストックホルムの街でマスクをして歩いている人は、ほとんど見かけない。
在宅勤務の人が多いため、電車も通常ランチで賑わう店もガラガラではある。ランチの人気店は、通常の15-20パーセントの客入りだと言っていた。
中学校までの学校は閉鎖されていない(高校、大学はオンライン授業。)が、子供が行っている土曜日だけの日本人補習学校は、4月18日に新年度が始まって以来、生徒は登校することなく家庭学習になっている。(かなり負担、かなり大変。日本の親御さんはご苦労されていることだろう。)
スポーツジムは、3月の始めに2週間、閉鎖になったあと再開した。ふだんは定員35人のグループレッスンは定員17人になっていて、いつもどのクラスも満員。キャンセル待ちリストに数十人ということも多い。
上の写真は今日(2020年4月27日月曜日)のストックホルムのジム。
●2020年5月1日、追記:
スウェーデン在住の日本人から、ロックダウンを呼びかけるサイトで署名してほしいと連絡が来た。
■関連ページ:
●コロナ閉鎖は今すぐ解除を:ドクターエリクソンの主張
●トランプを挑発するスウェーデンの新型コロナウィルス戦略
●スウェーデンのコロナ対応、他国に倣わず。(ニューヨーク・タイムズ)