コロナ

コロナ対応の甘かったスウェーデン、北欧内で村八分:不可触民扱いされ隣国に行けない夏

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(最終更新日:2020年6月7日)

夏休みを目前に控えたヨーロッパの国々は、徐々に国境封鎖解除に向かっているが、ノルウェーもデンマークもドイツも、コロナ感染率の高いスウェーデンからの入国はお断りだと表明している。(フィンランドは、今のところ不要不急の外国人旅行者の入国制限を国に関わらず続ける方針。)

前記事「コロナ中とは思えないストックホルムの人混み:マスクを探せ!」で、のどかなスウェーデンの様子を紹介したが、その裏では、こういうことになっているという話。4,000文字。

スウェーデン人は、”不可触民”扱い!?

英文記事を読んでいたら、ロックダウンをしなかったためにコロナ死者や感染者の多いスウェーデンは、近隣諸国から”パライア(pariah)扱い”を受けることになりそうだと書いてある。知らない言葉だったので調べてみたら「不可触民」。カースト制度のピラミッドの一番下よりもひどいカテゴリーの人たちを指す。

不可触民(ふかしょくみん)とは、カースト制度の外側にあって、インドのヒンドゥー教社会における被差別民である。アンタッチャブル、アウトカーストなどとも呼ばれる。

ウィキペディアより

南欧のフランス、スペイン、イタリア、クロアチアは、スウェーデンを含む外国からの旅行者を無差別に歓迎すると発表しているが、飛行機の便数が激減し価格が高騰している現実を考えると、スウェーデンからそう簡単に行くことはできない。

つまりこの夏、スウェーデン在住者のほとんどは外国旅行ができず、国内に留まることになりそうだ。

ふつうは夏休みに外国に行くのがふつう

スウェーデンでは、6月の初旬から8月の下旬までの2ヶ月半の子供の夏休みと大人の夏休みがほとんど同じ長さだけあり、丸2ヶ月の休みを取る大人はザラにいる。非日常を満喫するために、そのうちの数週間を外国で過ごすのは、去年までは、スウェーデン人にとってごくありふれた夏休みだった。

島国日本と違って、ヨーロッパの国々は陸続き。自家用車で簡単に国境を越えて外国に行けるし、飛行機だって、今まではヨーロッパ内なら格安航空券でどこにでも手軽に行けた。

北欧に比べて物価の安いスペインやイタリアなど南欧に別荘を持っている人も珍しくないし、日本人のいる家庭なら、この時期に帰国して長期滞在することも多い。

6月の始めには夏休みムードになり、6月下旬の夏至祭の頃まではだいたいみんなスウェーデンにいてお祭り騒ぎをし、それが終わると、じゃあ、次は秋に!とあいさつして、方々に散っていくのがパターン。休み中は、学校の課外活動はもちろん、プライベートの習い事の類も一切なく、子供は宿題もほとんどないので自宅にいる必要がない。

外国に行かない人は、地方の親や親戚のところに行くので、7月のストックホルムは空っぽになって、街を歩いているのは地元の人間ではなく、観光客ばかりになるのがお決まりなのに、今年の夏は、どうなるのだろう。

と思っていたら、こんなブログページを見つけた。

ストックホルムには、巣ごもりの夏に備えて、早速、こんな対応策を進めているアパート(日本でいうマンション)もあるそうだ。
以下、ヨーロッパ撫子(なでしこ)のブログ情報。

マンション組合の巣ごもり対応

スウェーデンは感染者と死者の数が多すぎるためという理由で、兄弟分のようなデンマークからも入国を拒否された。

それでは、スウェーデン国内でどのように過ごそうか。

一昨日、マンションの委員会からお知らせが配布された。

この夏、家の中で過ごす人の数が多くなると予想されるため、

●中庭にある託児所からの騒音を軽減する措置を採る。

●地上階に住んでいる人たちから希望があったため、中庭の一部を売却し、彼らのテラスを一部拡張する。

●バルコニーに(希望があったら、各世帯の負担で)ガラスを張り、サンルームのように機能させ、多少冷え込む夜でもバルコニーで時間を過ごすことを可能にする。

なるほど、バルコニーで寝そべって本を読んだり、湖の景色を堪能しながら、ワイングラスを傾け、友人と世間話を楽しむなど優雅ではないか。

2020年5月20日付、ヨーロッパ撫子のサバイバル随想より

日本行きを断念したヨーロッパ撫子

上に引用したヨーロッパ撫子は、夏に日本に行く計画だったのをあきらめた日本人のひとりでもある。出発予定は6月で、該当便が欠航になったそうだが、もし他の便を手配して行ったところで、日本上陸後、二週間は自己隔離をしなければならず、空港からの移動は、公共機関だけでなく、タクシーも使えないそうだ。

この時期に日本に来ても面白くない、と友人から忠告を受けた。それでも良い。日本の土を踏めれば良い。実家に戻れれば良い。

日本人の端くれである私も、日本人としてパンデミック時勢の祖国の苦しみと葛藤を共有したい。

そして何よりも母の孤独感を一時でも癒したい。

2020年5月9日付、ヨーロッパ撫子のサバイバル随想より

さすが、名前に見合った見上げた心意気の元(もと)大和撫子!

不肖ホクオも日本行きをあきらめた

ホクオも夏の日本行きチケットを買って、楽しみにしていた。

8月でまだ先なので、行けるのかなー、行きたいなーとつい最近まで思っていたが、最近の日本の状況を知るにつれ、たしかにこの時期に日本に行っても面白くなさそうだから、行く気がどんどん失せて、すでにゼロになったところだ。あの暑い日本でマスクをすることは想像もしたくないし、なんといっても、2週間もの自己隔離が必要なんて、よほどの理由がないと行く気がしない。ヨーロッパ撫子とはずいぶん違う態度で申し訳ないが。(誰にと言われると困るが一応、あやまっておく。このへんは一応、日本人魂。)

村八分にあっても政府のコロナ政策を支持?

ところでスウェーデンだけが独自のコロナ政策を貫き通したために起きた今回の仲間はずれ待遇を、スウェーデン人はどう思っているのだろうか。

引き続きヨーロッパ撫子のブログを引用する。

むろん、政府に信任を置いている/置いていた九割ほどの人たちのすべてが、現在の政府のコロナ対策を両手を広げて歓迎している※とは言い難い。(※「両手を挙げて賛成」に似た、スウェーデン語表現)
根強い反対派勢力は過激化しつつある。

一人の女性がテレビのインタビューでこのように語っていた。

「この先がとても不安です。スウェーデンは孤立するかもしれません。海外旅行だけではなくスウェーデンから外国への輸出に対する影響も心配です。でも今は政府の方針に従って行くしかないでしょう。だって、私達自身が投票して選んだ政府なのだから。」

私には選挙権がない。また、スウェーデン人でもないため、スウェーデンに対して抱くような愛国心もない。しかし、「私達自身が投票して選んだ政府なのだから」などと胸を張って政府を支持し、およそ九割の投票率を誇れる被政治家と政治家の連帯感には羨望しつつある。

今後、私は欧州から村八分にされた北国で足止めを食らうことになるかもしれない。しかし、不平は言うまい。自分で選んで移住した国なのだから。

2020年5月27日付、ヨーロッパ撫子のサバイバル随想より

元大和撫子はここでも言うことが違う!
ホクオは、そんな風に思ったこともなく、ヨーロッパ撫子がテレビで見たようなことを言っているスウェーデン人も見たことがない。ホクオの周りのスウェーデン人は、あまり深く考えず、この制限のある状況で、どうやって楽しむかということだけを考えているように見える。

前記事で紹介したように、基本的にはスウェーデンから出られなくても、この国の夏はとくにパラダイスなので、外国に行きたいのっぴきならない理由がある人以外は悲壮感はない。ホクオの周りでは、コロナ政策が間違っていたかどうかを議論するより、この機会にスウェーデンの夏を十分堪能しようという雰囲気だ。

(上の写真:6月3日水曜日、ストックホルム自宅前の平日の午後。どこにでも見られるそのへんのごくありふれた風景。)

ただし、地方の人気のリゾート地は、すでに予約が殺到してどの宿泊施設も満室になっているようだ。

スウェーデンのコロナ政策は失敗したのか

日本でスウェーデン情報が流れるそうで、ここ数日の間にこんな声がまとめて届いた。

日本のAさん
テレビのニュースで、スウェーデンの偉い人が「対応が甘かった」って会見してたよ。
日本のBさん
スウェーデンのコロナ対策は失敗だったの?!?
日本のCさん
ちょっと前には、スウェーデンはロックダウンしないで、集団免疫を獲得してコロナ対策成功しとるとも聞いたけど。

前項で述べた通り、ニュースに疎いホクオの知る限りでは、巷では、失敗とも成功とも議論されていない。周りの国から村八分になるというのは予想外のことだったが、ロックダウンをしなかったので感染者が多いのは想定内だった。

メディア上では失敗と言う人もいれば、成功と言う人もいる。ロックダウンした国々や非常事態宣言を出した日本のマスコミが、「失敗」の方を取り上げたくなるのはもっともなことだろうとも思う。

リスクグループに入っていて、コロナに罹って大変な目に遭った知り合いもいるが、治ってしまえば後遺症が残るわけでもなく、スウェーデンのコロナ政策をとくに恨んでいる様子もなかった。

ホクオ自身は、スウェーデンがロックダウンされなかったおかげで子供の卒業式という大切な節目の行事を経験できたり、義母の葬儀ができて親族や知人と共に故人を見送ることができたことを、個人的にありがたく思っている。

スウェーデン在住者のための旅行制限国リスト(6月2日付情報)

2020年6月2日付のこの記事に、ヨーロッパ内の国々の制限解除、非解除についての詳細が出ている。(スウェーデン語)
http://tt.omni.se/hit-far-du-inte-resa-i-sommar/a/MRKQ8J


村八分という日本語は、ヨーロッパ撫子のブログを読んで久しぶりに思い出してタイトルに使わせてもらった。

村八分(むらはちぶ)とは、村落(村社会)の中で、掟や秩序を破った者に対して課される制裁行為であり、一定の地域に居住する住民が結束して交際を絶つことである。転じて、地域社会から特定の住民を排斥したり、集団の中で特定のメンバーを排斥(いじめ)したりする行為を指して用いられる。
(ウィキペディアより)


■関連ページ:
コロナ中とは思えないストックホルムの人混み:マスクを探せ!
ホリデイシーズン開幕のゴングが鳴る:スウェーデンの高校の卒業式」
スウェーデンのミッドサマーデイ(夏至祭)、白夜の国の極めて大事な祝日

■参考:Coronavirus: Swedes risk being excluded from travelling abroad(英文記事)

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