【ケゾえもん寄稿】コンピュータのメモリに似たDNAシステムの背後に全能の存在の影あり

ケゾえもんイメージキャラクター

「神は存在するか? その12」

(ケゾえもん 2023.8.29. 記)

突然だが、ちょっと超簡単にDNAの働きを説明させて欲しい。

DNAはA,T,G,Cという4つの塩基(そういう名前の物質がある)をアミノ酸を指定するのに使っている。塩基3つづつにひとつのアミノ酸を意味させている。たとえばアスパラギン酸ならAAC、アルギニンならAGA。
それら塩基はポリヌクレオチドというノートの上に書き込まれている。このノートが「タンパク質の設計図」になっている。これでわかる様にタンパク質とはアミノ酸の羅列だ。

ここで注意しておくがDNAシステムの働きはものすごく複雑になっているので話を単純化するため多くの説明をはしょるつもりだ。
なので厳密に言えば少し事実と違うと言う様な部分が出て来るが、おおまかな仕組みの説明としては間違っていないようにする。

ノートにあたるポリヌクレオチドは紐状になっておりまったく同じ情報が(鏡像関係で情報同じ)書き込まれた2本がワンセットになっていて有名な2重らせんを作っている。図で黄色くなっているところがポリヌクレオチドだ。

この図の一番左にあるAAGTCCとなっている部分が設計図と考えてもらう。じゃあもう一本の方(図でTTCAGGとなっている)は何かと言えばバックアップ作成用コピーだ。

それでこの設計図はなんの設計図かと言えばタンパク質の設計図だ。生物はタンパク質でできているのだ。これは信じて欲しい。水とか油とかはただの中身。水のペットボトルを見せてなんでできていると言われて「水」と答えたら不正解。正しくは「プラスチック」。水の方が多いわけだけど。

さてこのタンパク質の設計図はここでは説明しないが、ある方法でタンパク質の製造工場に運ばれる。この製造工場には「リボソーム」という名前がつけられている。リボソームは設計図の情報に基づいてタンパク質を作るわけだ。

「DNAって驚くほどコンピューターのメモリーに似ている」

塩基3つづつがひとつのアミノ酸を指定するってのはコンピューターで言うプロトコルだ。実はDNAが指定するアミノ酸はきっかり20種類しかなくこの20種類であらゆるタンパク質を作っている。

このプロトコルでは4種類の文字(ATGC)と3つづつのコードを使っているわけで4×4×4で本当は64種類のアミノ酸を指定できる。しかしアミノ酸の種類は500種類あるのにDNAは20種類しか使っていない。これはとても興味深い。

ちょっと言っておくとアミノ酸とはアミノ基とカルボキシ基の両方の官能基を持つ有機化合物の総称。でもおぼえなくていい。私だって今調べた。官能基(結合の手)を持っているのでアミノ酸同士がくっつくことができてタンパク質になれるってのはちょい重要。ここで1口豆知識。初めて発見されたアミノ酸はアスパラの中から発見されたのでアスパラギン酸と名付けられた。だからこのアミノ酸はこんな変な名前なのだ。

工場(リボソーム)でアミノ酸からタンパク質を合成しようと思うと私が思うに大切な条件が3つある。

1.アミノ酸同士は簡単に接合できること。
2.アミノ酸同士が結合するときは1本の紐のように結合すること。
3.各アミノ酸はDNAのプロトコルである3文字の塩基に結合すること。

項目1.は当然でこれがスムーズでないと生物はタンパク質を作れない。これがスムーズにできる20種類のアミノ酸が特別に選ばれて生物が使っている。

そして2.だが、並べられたアミノ酸は必ず最初は1本の紐状態なっている。この状態でないと、複雑なタンパク質を合成するのに不都合となる。逆に言えば1本の紐状に並べたアミノ酸の列を作りさえすればタンパク質を作れるなら、設計図にアミノ酸の羅列を書き込むだけで、いくらでも複雑なタンパク質が製造可能であり、とても頭の良い方法と言える。

アミノ酸の列は一列の紐状でまず作られ、それが折りたたまれ3次元構造になりタンパク質になる。ただしそのタンパク質は部品に過ぎず、多くの場合、それらがより集まってやっと機能を果たすようになる。

そして問題は3.である。下のリボソームの模式図を見て欲しい。DNAからタンパク質の設計図が工場(リボソーム)に送られた時の図だ。リボソームを貫いている水色の棒がDNAから送られてきた設計図だ。この設計図にはメッセンジャーRNAという名前がつけられている。タンパク質を作るためには設計図通りにアミノ酸を並べなければならないので、そのためにはアミノ酸(図ではピンクの丸)と設計図は結合しないといけない。この場合設計図は設計図であると同時にアミノ酸を並べる型紙でもあることに注意。設計図に書いてあるものは例の3文字づつで指定したコードだ。アミノ酸は自分を示すコードのところにくっつかないといけない。
ところが

このコードは全能の存在が言わば勝手に決めたプロトコルで、アミノ酸の知ったこっちゃない」

そんなに都合良くアミノ酸はコードと結合できないし、結合するつもりもない。それで仕方ないのでアミノ酸と3つづつの塩基コードが結合できるアダプターを開発することにした。図で黄色で示されたtRNAと書かれた部分がそのアダプターだ。

アダプターを介してアミノ酸が整列するとアミノ酸同士は簡単に結合する。アミノ酸同士が結合したら、アダプターはもう不要なので切り離されて(こういうのはすべからく特別に設計された酵素の働きによる)ただのアミノ酸の列になる。このアミノ酸の列こそタンパク質であり、この方法でどんな種類のタンパク質でも作れる。

まるでコンピューター付き自動工場みたなことをDNAシステムはやっているのだ。

ケゾえもん
続く



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