(2023-10-24 ケゾえもん記)
リヒャルト・シュトラウスのオペラ薔薇の騎士について語りたい。すごく語りたい。
先ず、薔薇の騎士のストーリーを説明する。
このオペラはコメディであるけれど真剣な恋愛も描いているので非常に充実した物語を楽しめる。
一言で言うとヴェルデンベルク陸軍元帥(侯爵)の夫人マリー・テレーズ(32歳)とロフラーノ伯爵オクタヴィアン(17歳)の恋を描くオペラである。
(簡単に言い過ぎると異論もあるだろうけど、おいおい説明する)
年齢でわかだろうけど15歳の年の差のある、女性の方が年上の異常カップルだ。肩書でわかるだろうけど二人とも、一方は陸軍元帥夫人、もう一方は若くして家督を継いだ伯爵と超重要人物である。
この後説明するけれど、オクタヴィアンは女装しても超かわいい娘に化けられる美貌で、17歳で伯爵であるということと合わせて無敵の存在なのだ。一方、元帥夫人もそのオクタヴィアンを射止めたのでもわかる様に超美人である。
元帥夫人は結婚しているわけで、この恋愛は不倫である。オペラはふたりがセックスをしているところからはじまる。コメディであるが、このセックスの場面は真剣だ。おもしろいコメディを作ろうと思ったら、真剣な場面とコメディの場面とを適度にミックスしなければならない。
オペラは前奏曲から始まる。この時に幕は閉まっている。普通の演出なら当然幕は閉まっている。私は自分が演出家だとしてこの前奏曲の演奏の時に幕が開いている演出をまったく考えつくことができない。なぜなら、その前奏曲はセックスの最中を描写しているのだから、幕を開けるのはまずいでしょう。ユーチューブなどで聞けるから聞いてみれば良い。この前奏曲はセックスだ。
前奏曲が終わると幕が開く。そこにはベッドがあり元帥夫人とオクタヴィアンがベッドインの状態で余韻に浸っている。
「昨晩の君はすごかった」
「なんか文句ある?」
「僕はただ世界中の人に君の魅力を伝えたいんだ」
などと語りあったりする。もうラブラブなのだ。
元帥夫人は超重要人物なので毎朝起きたらベッドにいる状態で庶民の陳情を受付たり、売り込みに来る人の話を聞いたり、重要書類にサインしたり、その間にスタイリストに髪を結ってもらったりしないといけない。コメディらしいどたばたがあってオクタヴィアンはベッドルームから逃げ出す(不倫だから)機会を失い、苦肉の策でメイドに化ける。それがあまりにかわいいので元帥夫人は胸キュンとなる。
ところでこの人の波が帰って行った後で、この時アポなしで押しかけてきていた元帥夫人の従弟のオックス男爵(超好色いやな男)が要件を切り出す。自分は結婚することになったのでその結婚の重要儀式である使者の「ばらの騎士」役をするものを探している、誰かいないか?と言うのだ。
元帥夫人はそれがオクタヴィアンとの破局の原因になるとも知らず、いたずら心で「ロフラーノ伯爵オクタヴィアン」を推薦し、オックスも申し分ないとそれを受け入れる。オックスは好色なのでメイドに女装したままでまだ逃げ出せないでいるオクタヴィアンをデートに誘ったりお尻さわったりしてオクタヴィアンをパニックに陥らせる。
最後すべての人が帰ったあとで、元帥夫人はオクタヴィアンに別れのキスをしなかったことに気づいていたたまれなくなり召使に呼びにやらせる(忠実な側近は不倫を知っているが決して口外しない)がオクタヴィアンはすでに馬で風の様に駆け去った後でどうしようもないと報告を受けるのだった。
これで1幕が終わる。全3幕ある。
ケゾえもん
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