今年もスウェーデンにミッドサマー(夏至祭)がやってきた。早くも1年が半分終わったことを実感したり、これから1日1日と、また日が短くなっていくと思うと、ちらりと物悲しい気持ちにもなりつつ、とりあえず祭りやパーティー三昧で盛り上がる。
夏と冬でこれだけ日照時間の差が激しい国では、夏至と冬至の意味合いが日本とはずいぶん違うというのもさることながら、この日を堺に1、2ヶ月間の長い夏休みに入る人が多いので、大人も浮かれて大はしゃぎするのだ。
日本の盆と正月が、北欧ならミッドサマーとクリスマスに当たるが、夏休みのスケールが違う分、ミッドサマーのホリデイ気分は日本のお盆の比ではない。
この季節にスウェーデン旅行を考えている人は、ぜひミッドサマーイブの日に合わせて行ってほしい。クリスマスイブに匹敵する重要な日で、各地で、祭りが行われてにぎわう。ミッドサマーフェスティバルといえばダーラナ地方のレクサンドが有名だが、小規模な祭りなら、スウェーデン内全国どこでも、どんな小さな田舎に行っても見ることができる。
「ミッドサマー」という祝日
北欧の「ミッドサマー」は「夏至祭」と訳されることが多いので、ここでもそうしたが、正確に言うと、夏至祭は、ミッドサマーイブに行われる祭りである。(後述)
祝日としての「ミッドサマーデイ」(スウェーデン語:Midsommardagen)は、スウェーデンやフィンランドでは移動祝祭日で、毎年6月19日から26日の間の夏至に最も近い土曜日がそれ。2017年は6月24日で、その前日であるミッドサマーイブ(スウェーデン語:Midsommarafton)の金曜日も合わせて祝日になる。
暦の上では3連休だが、7月中は働く人がほとんどおらず、7月までまだ1週間残っているこの日から1、2ヶ月間の長い夏休みに入る人が多い。
つまり、子供たちの2ヶ月半の夏休みが6月始めに始まったあと、平均的な大人たちの長い夏休みも6月の終わりのこのミッドサマーイブの日から始まるので、実質的には、個人の手帳ではずっと「赤い日」が続く。
個人経営の飲食店もドーンと丸2ヶ月休業するのはごく普通なので、ミッドサマーの始まる週に、馴染みの店にランチに行くと、店の主人に「では、ウチも8月まで休みますんで、良い夏を!」と声をかけられる。
前に書いた6月の始めの卒業式シーズンの賑わいがホリデイシーズン開幕を告げる騒がしいゴングなら、ミッドサマーのそれは、正式に奏でられるファンファーレだ。
ミッドサマーイブの前日の木曜日は、国民大移動の日。日本のお盆のように、みんなが田舎を目指すので、高速道路の下り車線は終日渋滞する。
(2017年6月22日木曜日撮影、夜9時の高速道路下り車線)
夏至祭という祭
この祭は、ドイツやイギリスで行われる五月祭の柱(メイポール)と類似しているが、北欧では5月初旬には花が乏しいため、夏至の時期に祭を行うようになった。(ウィキペディアより)
祭りは、夏至柱の設置という儀式で始まる。草花で飾った柱を、数人が持ち上げて固定。
(2012年6月撮影、Runtuna村祭り)
そのあとは、この柱の周りで、生バンドと歌に合わせて、大人も子供もみんなで輪になり手をつないで踊る。写真掲載の小さな村祭りなら生バンドはシロウトの集まり。歌の多くは童謡だし、きわめてのどかで平和な雰囲気。民族衣装を着ている人がいたり、野の花で冠をつくって頭にのせている人もいる。
(2012年6月撮影、Runtuna村祭り)
夏至祭のシンボル
草花で飾られた夏至祭のポール(英語:Maypole、スウェーデン語:Midsommerstång)は、男性器のシンボル。年中売られている、定番の土産物。男性器のシンボルの周りで、動揺を歌いながら、みんな手をつなぎ、輪になって踊っていると思うと、のどかさもひとしおである。
※夏至柱の成れの果て画像は、このブログ内のこちらのページ参照
スウェーデンの国産イチゴ
ミッドサマーのメニューは、ニシンの酢漬け各種と茹でジャガイモ(小ぶりの国産新じゃがを皮つきのまま食べる。)を含むあれこれ。凝った料理もなく準備も簡単な分、日本人にとってめぼしいものはあまりないが、この時期に出回るスウェーデンのイチゴは絶品。スウェーデンで何がおいしいかと聞かれると、イチゴと答える。
初ものは高級品で1パック1,000円を超えるが、ミッドサマーの宴のテーブルには欠かせないデザート。
こんな紙のケースに盛られて売られている。
おまけ
宴のあとの窓辺の写真。スウェーデン産は野の花だけで、あとは全部イギリスブランド。これこそスウェーデンらしいとスウェーデン人たちが笑っていた。