【コロナ寄稿】スウェーデンを憂い、日本集団ヒステリーの団体責任を問う(ケゾえもん)


このコラムは、ケゾえもん氏にご寄稿いただいた。

スウェーデンのコロナ対策は失敗したのか

スウェーデンのコロナ死者数、3,646人でじわじわ増えてきてしまっている。
米ジョンズ・ホプキンズ大学の集計によれば、スウェーデンの死亡率は4月30日時点で12%超でアメリカ、中国を抜いて世界6番になったそうでスウェーデンのロックダウン無しのやり方について、多方面から批判の声が聞こえてくるようになった。

ただ死亡率なんてものは、分母の取り方でいかようにも変わるので、ホプキンズ大学の集計だろうがなんだろうがぜんぜん信用できない。
信用できる率があるとすれば人口あたりの死亡率である。
しかし、それだとしても残念ながらスウェーデンの率は高くないとは言えなくて、いろいろな理由からスウェーデンのやり方を応援している私としてはスウェーデンの状況を心配している。

スウェーデンのカロリンスカ研究所のセシリア・セーデルベリ・ナウクレル教授(微生物病因)はロイターのインタヴューに
「今すぐストックホルムを封鎖する以外に選択肢はない。
国が完全な混乱状態に陥ることがないように、状況をコントロールすることが必要だ。
外出制限をしないという方法は、これまで誰も試していない。
それなのになぜ、国民の同意なしに、スウェーデンが初めてその方法を試さなければならないのか。」と語ったというけれど、他の国だって国民の同意なしでロックダウンしてるんだから、スウェーデンが独自の方法を国民の同意なしで試したっていっこうにかまわないと、私など思う。

しかし、こういう人はどこにでもいる。私が今回話をしたいのは
スウェーデンのことでなく日本のことだ。

免れなかった日本の非常事態宣言

後知恵で日本は非常事態宣言しなくて済んだと言うのは簡単だけれど、私が日本の首相だとして、最初の非常事態宣言を4月7日に発出しないで済んだかどうかという思考実験をしてみたいと思う。

あのころ、テレビのワイドショーや新聞の報道に煽られて日本全体が

    「このままでいいのか?」
    「東京はニューヨークになる。」
    「もう遅いかもしれない。何をしているんだ。」

という非常事態宣言を出せ出せとのヒステリーが生まれていた。

それで<スウェーデン方式>を私は選ぶと言って、非常事態宣言をしなかったらどうなったか?
たぶん、日本のロックダウン度から見て、非常事態宣言してもしなくても、コロナの状況はあまり変わらなかったと信じる。

すると4月7日以来の統計を見てみるとPCR検査陽性数、死亡者累計すべて順調に上昇している。あたりまえだ、ウイルスとはそういうものだ。
私の説によれば、非常事態宣言しなくてもこれは同じ様に順調に増加していたと思う。そして私の説によれば、非常事態宣言してもしなくてもこのグラフはほぼまったく変わりなかっただろうと言っているのだ。

しかし、もし私が首相で、もし非常事態宣言しなかったとしたら、この上昇の責任は全部私にあるとされていたのは間違いない。

「ほーら、見なさい。非常事態宣言しなかったから、こんなに患者が増えた。」

「この増えた死者数はすべてあなたのせいだ。どう責任を取るつもりだ。」

いや、冗談でなく、間違いなくこういうことになると思いますよ。
だから私は思う。4月7日に非常事態宣言しなかったら、どれだけ国民は幸せになったかわからないけれど、首相は幸せにならなかったと。
小池百合子なんか、口を極めて首相を非難したに違いない。

だから、仕方がなかったんですよ。強いて言えば、煽られたとは言え集団ヒステリー※になってしまったみんなが悪い。これは団体責任ですね。

(ケゾえもん、記)

ヒステリーとは、精神的な原因で一時的に生じる病的興奮状態の通称。

集団ヒステリーとは、集団が強い不安や恐怖などのストレスに晒されることによって、集団の成員全体にパニックや妄想などが広まることを意味する語。

(出典:weblio辞書)

ホクオ
ケゾえもんさん、ご寄稿どうもありがとうございました。

■ケゾえもん氏のその他のコラム:
「もしあなたが安倍首相だったら、コロナ対応どうしますか?」
コロナ閉鎖解除のタイミング:ニューヨークタイムズから小池百合子まで(マジメ度やや低)


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