【ハイジの文学寄稿】心の闇やパニック発作を扱った北欧ミステリー作家、アルヴテーゲン

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ハイジ
ミステリー作家アルヴテーゲンの小説、レビューで3.5星だったので迷ったのですが、私的には、最近読んだミステリーの中で、一番良かったです。 続けて、彼女の処女作「罪」を購入しました。以下はアマゾンに送るレビューです。

「喪失」2004

私は、この小説をきっかけに、アルヴテーゲンに魅せられて、一気に彼女の作品のうち、Kindleで読める5冊を読破した。

コロナ禍の中、北欧ミステリーが面白いと人に勧められ、同じ読むなら友人の住むスウェーデンのものを!と、Kindleで検索して、全く知らなかったアルヴテーゲンという作家の「喪失」を見つけた。
そこからハマってしまった。

「喪失」は、久しぶりにグイグイ引き込まれて行く小説で、ミステリーと言っても、サイコスリラーだ。
そしてこの小説を始め、殆ど全部の小説の中に流れる一つのテーマは、パニックアタック!
著者の個人的な体験によるものである。

「喪失」では、主人公のシビラだけではなく、登場人物の心理的な描写がとても上手く表現されている。

ネタバレになるので詳しくは書けないが、この小説には、直接的な言葉を使わないで、今流行りの「毒親」のことや、隠された大事なテーマ(…と私は思う)として、「臓器移植」について問われている気がした。

「喪失」には、他の彼女の作品と違い、途中から15歳の少年が大きな役割を持って登場してくる。彼の存在でこの小説が、単にミステリー小説というよりも、より「物語性」が大きく感じられる。
最後に、主人公シビラが再生して行く姿の陰にも、この少年の役割が大きく感じられて、スッキリした結末だと思った。

一度だけ行った、スウェーデンの風景を思い出しながら、とても心に残った一冊だった。

(2020年5月9日、ハイジ、記)



「喪失」(小学館2005, カーリン・アルヴテーゲン著、柳沢由美子訳)

ストックホルムの32歳の女性ホームレスが、ある日突然、連続猟奇殺人犯として警察に追われることになる。食べ物と寝場所を求め格闘しながら、極限状態に身も心もすり減らし、たった一人で真相に迫っていく……。地方都市の富豪の一人娘がなぜホームレスになったのか? 深い心の傷を負い、絶望と背中合わせに生きる主人公が、逃避の人生を清算し新しい生き方を獲得する過程は大きな感動を呼ぶ。2000年北欧犯罪小説大賞受賞作。

カーリン・アルヴテーゲン (Karin Alvtegen)
1965年スウェーデン生まれ。脚本家を経て作家に。彗星のごとく現われ、デビュー作『罪』が高い評価を受けた。2作目の『喪失』でベスト北欧推理小説賞を受賞。世界20カ国で翻訳され、映画化も進行中。北欧ミステリー界の女王ともいえる存在。(BOOK著者紹介情報より)

「罪」1998

上述の「喪失」の方が有名だが、アマゾンレビューによると処女作の「罪」の方がよかったという声も多い。

アマゾンカスタマー
最初に読んだ「喪失」が私にはイマイチでがっかりだったのですが、こちらは同じ作家と思えないぐらい面白かったです。しかもこれがデビュー作と知って驚きでした。

主人公ペーターがパニック障害を発症した時の描写が非常にリアルなのですが、作者自身がパニック障害に苦しんだ経験があるとのこと。 心身共に頑丈な人からするとペーターは「弱い」と感じるかもしれませんが、「弱い」というよりは感受性が豊かで人より敏感なだけで、かつ周りに理解者がいなかったのだなと共感できる人も多いのではないでしょうか。
ポー
作品の完成度としては確かに「喪失」(2000年ベスト北欧推理小説賞)が上だけれど、 私はどういうわけか「罪」の方に魅力を感じた。


「罪」(小学館2005、カーリン・アルヴテーゲン 著, 柳沢由実子訳)

■参考:カーリン・アヴテーゲンのオフィシャルサイトで著書一覧が英語で見れる。

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