(2023-10-25 ケゾえもん記)
私にとって当たり前のことなので説明をするのを忘れていた。元帥夫人はソプラノ、オクタヴィアンはソプラノまたはメゾソプラノが演じる。つまりオクタヴィアンは男だけれど女性が演じるというわけだ。宝塚みたいなもの。
ここで、訂正。
クライバーの記事でクライバーの映像付きオペラの正規盤はこうもりとカルメンとウィーン国立歌劇場での薔薇の騎士の3つしかないと言ってしまったが、昔から発売されて発売時センセーションを巻き起こしたバイエルン国立歌劇場での薔薇の騎士があることを忘れていた。
このバイエルン盤での冒頭の前奏曲のエネルギー感がすさまじい。もう音楽がぐるんぐるんするんだ。この部分だけ何回繰り返して聞いたことか。
このバイエルン盤でオクタヴィアン役をやっているのがブリギッテ・ファスベンダーというメゾソプラノで、クライバーの録音でも映像付きこうもりでオルロフスキー役をしていたり、トリスタンとイゾルデではブランゲーネ役だったりで明らかにクライバーに気にいられている実力派であり、私も大好きである。この人わたしが定期会員だったころN響の定期演奏会にも出演していた。生ファスベンダーはさすがでした。
でもこの人は男らしい演技というのを勘違いしていて、女装したオクタヴィアンが下品になるのが気に食わない。これは演出家の責任かもしれないけれど、このバイエルン盤も、もうひとつのクライバーの薔薇の騎士のウィーン盤も演出家は同じオットー・シェンクで、ウィーン盤のアンネ・ソフィー・フォン・オッターはまったく問題ないのでこれはファスベンダーの責任と思われる。
1994年のクライバーが6回薔薇の騎士を指揮したウィーン国立歌劇場の日本公演は10月7日から10月20日の間に上野の東京文化会館で行われた。今でもあの時の興奮を忘れない。
私の友人の女性は会場に向かうため上野駅で降りて信号待ちをしていた。その時彼女はオペラのプログラムを持っていてそれを読んでいたそうな。うしろからプログラムを取り上げた人物がいて、びっくりして見るとフォン・オッターで黙ってさらさらとプログラムにサインするとにっこり笑って返してくれたそう。その子はけっこうきれいな子なのでフォン・オッターの好みだったに違いない。ズボン役を得意とする人はそのケがあるということだね。
ところでほんとややこしいから箇条書きにしておく。
1.オクタヴィアンは男です。
2.オクタヴィアン役はソプラノかメゾソプラノがやります。
3.男役のオクタヴィアンは劇中(3幕)で女装をします。
ケゾえもん
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