スウェーデン、「夏休み明け休み」が欲しい、ふざけちゃいるけどわかる気持ち

 

秋風の吹き始めたストックホルムは、子どもも大人も先週の半ばに長い夏休みを終えた。新年度が始まり、今週からは月曜から金曜日まで週5日の通勤・通学生活の日常が再開している。そんな1週間が終わろうとする金曜日(2017年8月25日)に、地下鉄のタブロイド紙メトロ(Metro)に掲載されていた漫画を紹介。

Metro掲載漫画


娘:「あーー、休みが欲しい!」
母:「あんた、休み、終わったばっかりじゃなかった?」
娘:「うん、でもさ。休みの後の休みが必要なんだよね。パーティー三昧でしょ、田舎のサマーハウスにも行くし、旅行に夜遊び、プールに酒、遊びまくるのがどんなに大変かってこと、みんな、わかっちゃいないのよ。」
娘:「そもそも、4週間、毎日、酒飲み続けたから、肝臓チェックのための休暇が必要だと思うんだよね。」
母:「あんたらの世代は、さらに4週間の肝臓休みの権利を勝ち取るべく、頑張らなきゃってわけね。」
娘:「わたしが、こんなにも疲れきっていなかったら、(休みをもっともらえるよう)頑張れるのに!」

後半の「休みの権利を勝ち取る」云々は、スウェーデンならではの別の話になってしまうが、前半の、丸1ヶ月の休暇のあとに、「あー、休みが欲しい!」という気持ち。日本人なら恐縮して口には出せないけれど、わからなくはない。たしかに、遊ぶのも疲れる。

スウェーデン人は社会人も、基本的に5週間の夏休みを取る。(もっと長い人もたくさんいる。)
かつて5週間の夏休みの内訳を、このように説明してくれた精神分析家(イタリア在住)がいた。

5週間の夏休み、その内訳

●病気の第1週目:心身ともに疲れ切っていて具合が悪い。
●回復の第2週目:だんだん人間らしくなってきて、周りのことも見えてくる。
●リラックスの第3週目:やっとリラックスして、楽しみ始める。
●楽しい第4週目:休みはいいなぁと心から思える。
●危険な第5週目:もうすぐ仕事に戻って行くことを考え、人生の大半を仕事に費やしていいのだろうかという疑問が湧いてくる。

(The first to be sick in order to begin to feel oneself, the second to rest and slowly become human again and sense the world around you, the third to start really relaxing and the forth to start loving. The fifth is dangerous because thats when you seriously begin to wonder whether spending most of ones time with mentally sick or problems is really what life is about. )

体力もお金も要る夏休み

夏休みには、体力も必要だが、お金も必要だ。

日本の大学で心理学を教えている旧知の教授が、国連が発表した「世界幸福度ランキング」を紹介した執筆物で、ホクオについて書いたことがある。

(前略)日本は経済的には豊かでも、幸福度は上がらない。これは、どういうところから来ているのでしょうか。

わたくしの知人でスウェーデンに暮らしている日本人は、収入は少ないのに、夏休みだ、秋休みだ、クリスマスだ、とバカンスを楽しんでばかりです。

老後の生活が心配で、バカンスを楽しむこともなく、貯蓄をしている日本人も多いと思いますが、貯蓄をしなくても将来の生活に不安はないという国の環境の違いが、幸福感や生活行動にも影響しているのでしょうか。(後略)

「収入は少ないのに遊んでばかりいる日本人」のホクオには、たしかに貯金がなく、周りのほとんどのスウェーデン人にも、貯金をする習慣はない。

貯蓄をしなくても将来の生活に不安がなかったのは、過去の話に違いないが、それでもなんとかなると思っているのか、習慣は変えられないのか、とにかく、多くのスウェーデン人たちは、貯金をしないばかりか、大きな住宅ローンを抱えながら、休みの「権利」を目一杯使って、目一杯遊んでいる。

ホクオの場合は、将来の生活は不安だらけだが、少ない収入からちっぽけな貯金をしたぐらいでは、その不安が解消されるとは思えないので、元気なうちにと思って遊んでいる。

紹介漫画、スウェーデン語版

スウェーデン語オリジナルはこれ。

漫画の作者は、Ellen Ekman(エレン・エクマン)、1986年生まれ、現在31歳。

(出典:Metro.se)
Ellen Ekmanのサイトhttp://ellenekman.se/
冒頭のアイキャッチ画像の出典は、Lilla Berlinのフェイスブック

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