ケゾえもんの音楽寄稿で初めて、スウェーデンが登場!(2,200文字)
問題。
オーディオで一番再現できないのは何でしょう?
それは合唱です。
合唱のエネルギーだけは、さしもの私のオーディオシステムでもどうにもならない。
例えばモーツァルトのオペラ魔笛の各幕の最後に繰り広げられる合唱がどれだけ神々しいかは聞いたことのない人は知らないでしょう。
しかしこのすさまじい神々しさは、オーディオではどうにもならない、再現できない。
合唱以外はそうでもない。オーディオが充分に現実を再現できない時でも、脳で補完してなんとかなることが多い。だけど合唱だけはあまりに録音と原音との差が大き過ぎて補完不能。まあぁ、録音の合唱のしょぼいこと、しょぼいこと。
それがいつも持つ私の感想。
写真は世界最高の合唱団と言われているスウェーデン放送合唱団。
■スウェーデン放送合唱団について日本語で解説されているページ
http://www.pacific-concert.co.jp/foreigner/view/450/
■スウェーデン語:radiokören
https://www.radiokoren.se/om-radiokoren/
ただし言った様に、合唱はオーディオでは再現できないので世界の多くの人はその真の実力を知らない。
私はと言うとサントリーホールで聞いたことがある。
実はもったいないことにあまり記憶がない。
たしかベルリンフィルのアバドのすごいソリストたちとスウェーデン放送合唱団でベートーベンの第九だったと思うのだけど、第九ってあまり好きではないんです。
あれって私には娯楽作品なんですよね。オーケストラも楽しめるしオペラ風に合唱も楽しめる。人類普遍の芸術と身構えて聞くとこの曲のコンセプトとして間違えるような気がいつもするのですが、もちろん一個人のたわごとです。
とにかくその時はもちろん感激はした筈。期待外れだったという記憶はないもの。
あったらその記憶は残る。食べ物のうらみは怖いのたぐいで、期待外れだった
うらみって残るから。でも記憶がない。あーもったいない。
脳で補完できるかどうかは、経験値が物を言う。
例えば私は3大テノール(カレーラス、ドミンゴ、パヴァロッティ)の生(なま)を経験しているので、私は彼らの録音を聞けば実際に何が起こっているか想像することができる。
カレーラスは闇夜を切り裂くレーザー光線。
ドミンゴは全方向伝播の脅威のエネルギー。
パヴァロッティは、あの人、頭がリーンとなって脳天から爆発噴射。
シュルツさんのフルートも私は良く覚えている。
笛というもののひよひよ感がまるでない、安定感。
ふうぉーと吹くとそれがそのままエネルギーに変わってシュルツさんの手元から広がる。
これは評論しているわけでない。記憶に残るということはオーディオ鑑賞にはとても役に立つということを言いたいだけ。
ここで問題です。
私は何百回もコンサートに行っています。
それでは、その中でナンバーワンだとはっきり言えるコンサートはあるでしょうか?
それともこれもよかった、あれもよかったという状態ではっきりナンバーワンと言えるコンサートは存在しないでしょうか?
どちらでしょう?
2020年8月13日、ケゾえもん記
凄く文化的な方なのですね。
1999年に三大テノールが日本に来た時、チケットは10万円以上だったと思いますが、知人が手に入れたと聞いてみんなで羨ましがっていました。コネがあるか顔がきかないと手に入れるのが無理だったようなお話でした。
ケゾえもんさんの投稿で、今私が、ヨーロッパで聴く音楽家の若い時の演奏を聴いてられると思うと、羨ましいです。