「神は存在するか? その18」
(ケゾえもん 2023.9.14. 記)
オリバー・ストーン監督の映画、JFKを見たことがあるだろうか? 実はこの映画は私が初めてプロジェクターを買ったときに、そのプロジェクターで最初にVHSのレンタルビデオで見た映画だ。
そのプロジェクターはカシオから発売され、3管式プロジェクターが1千万円ほどして手の届かなかった時代、値段設定が数万円でついについにプロジェクターがわが手に入るとすぐ買った。欠点は粗い画素はもちろんのことだが、とにかく画面が暗いこと。部屋がまっくらでないととても見れない光度だった。
ところでJFKとは絶大な人気を誇った合衆国大統領ジョン・F・ケネディのことで、彼はダラスの選挙遊説でのオープンカーでのパレード中にライフル銃で射殺された。
後にウォーレン報告というレポートが出て、リーハーヴェイ・オズワルドという海兵隊あがりの男が単独犯で大統領の背後のビルからライフルで狙撃したと結論された。しかし銃弾は3発発射されており2発が大統領に命中。その2発は2.4秒以内に発射されたと考えられており、これには神技が必要だとされ、オズワルドは一般人より狙撃の腕前は上だが、それほどのことができる能力を持っていないと言われたが、たまたま成功したという論理に反論は難しいのだった。
また後方からオズワルドは狙撃した筈なのに、大統領の脳髄の塊がその後方に飛び散るのもおかしいとも言われた。当時まだ珍しかった家庭用8ミリ撮影機の映像がひとつだけ残っていたり、現場にいた群衆の証言などから3発の銃弾は別々の方向から飛んできたという疑いが根強く残り、オズワルドが護送中に暗殺されるという事件などもあり、ケネディ暗殺はいまだに疑惑の的になっている。
映画JFKはその謎に挑むケビン・コスナー演じる地方検事の物語である。長い映画で確かVHS2本だったと思う。土曜日の夜に1本を興味深く見て2本目を次の日に見ようと思い日曜日の午前中に見出したのだが、驚いたことに薄暗いプロジェクターで見たときはおもしろかったのに、テレビで見出すとぜんぜんおもしろくない。そこで困ってしまい、夜まで待つことにした。
さて夜になって続きを見出した。ケビン・コスナーは奮闘するが、結局謎は謎で終わるという、ありきたりの結末だろうな、まあまあな映画だったなと暗闇の中、明日からまた仕事があるという日曜夜のけだるさの中で薄暗い映像をぼーっとみていたら突然すごいことが起こった。
映画がJFK暗殺の再現フィルムになったのだ。当日何が起こったか微に入り細に入り見せてくれているのだ。それも映画の中でこれは不思議だ、あれはおかしいと議論されてきた事柄がすべて矛盾のない形で解決されている。おい、こんな大胆なことしていいのか?とびっくりした。
しかし考えて見れば、想像力で物語を紡ぎ出せるのはサピエンス族の特別能力だ。ネアンデルタールにはその能力はなかった。この能力で大胆な仮説を立て、後にそれを証明するというやり方でサピエンスは超速の進歩を遂げてきた。そういうやり方で棋士は将棋を指し、一方AIはしらみつぶし方式で将棋を考える。将来AIは架空の物語を考える能力を持つのであろうか。もしかして、この能力は知的能力を持つ存在としては異例のことで(知的とは論理に従うことだが、架空の物語とは論理から外れることだから)全能の存在も驚いているのかもしれない。
さて、わたしもサピエンス族のひとりなので、物語で彼女がやったことをあばいてみたいと思う。次回それをやってこの連載の終わりとする。
ケゾえもん
続く
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