Stieg Larsson

スティーグ・ラーソン,1954 – 2004(享年50歳)

「ミレニアム」は、〝「ダ・ヴィンチ・コード」を超える今世紀最大のミステリー”として、全世界40カ国以上で翻訳され、2100万部を売り上げた、ハリーポッター以来の大ベストセラー・シリーズ小説。これを書いたのは、共産主義者としても知られるスウェーデン人ジャーナリストです。心臓発作のために(エレベーターの故障のために、7階まで歩いて上ったのが直接のきっかけ。)、50歳の若さで急逝したため、この作品が処女作にして遺作になってしまいました。

(以下、ウィキペディアより)

スウェーデン北部のシェレフテオ(Skelleftea)出身。母方の祖父母の下で育てられ、スペイン内戦に国際旅団の一員として参加した共産主義者の祖父の影響を受ける。トロツキー主義ジャーナルやSFファンだったことからSF雑誌の編集を手掛けたり、1978年から1979年までスウェーデンのSFファンクラブの理事を務めたりした。
1981年にスウェーデンの通信社(Tidningarnas Telegrambyra)でグラフィック・デザイナーとしてキャリアをスタートさせる。同会社で20年働き、イギリスの反ファシズム雑誌サーチライト(Searchlight)の編集にも携わった。1995年に政治雑誌エキスポ(Expo)を創刊し、編集長も務めた。
2002年からパートナーの女性と『ミレニアム』シリーズの執筆を始める。2004年に出版社と契約したが、同年に心臓発作により他界。


ミステリー三部作の第一部が、2009年2 月にスウェーデンで映画化され、日本でも「ミレニアム― ドラゴン・タトゥーの女」というタイトルで上映されました。(2010年1月公開、同年DVD化) 「はじめて観るスウェーデン映画」だった方も多いかもしれません。

内容は、スウェーデンの孤島を舞台に、40年前の少女失踪事件を調査する雑誌編集者ミカエルと、彼を助けるヒロイン、背中にドラゴンのタトゥーを入れた天才ハッカーのリスベットが事件解明に挑むミステリーサスペンス。

スウェーデンでは、すでに第二部(2009年9月)、第三部(2010年11月)も映画化されており、三作すべて、ハリウッドでのリメイクも決まっています。(ハリウッド版第一部は、2011年12月公開予定)

 

ミステリー三部作の邦訳版は、1と3が上下に分かれて全5冊。

ミレニアム1・上巻 ミレニアム1・下巻 ミレニアム2 ミレニアム3・上巻 ミレニアム3・下巻

さて、ここで個人的に気になるのが、ミレニアムをいっしょに執筆したといわれるパートナーの女性です。

調べてみました。

2010 年8月23日付、イギリス紙The Telegraph掲載のEva Gabrielsson(56歳)。

この記事によると、ふたりは1972年のベトナム戦争を反対する集会で知り合い、32年間生活を共にしたそうです。ふたりは「結婚」していなかったために、ラーソンの急死後、本の印税や、映画化に際しての著作権は、すべてラーソンの父親と弟の手に渡ることになりました。32年間にわたるパートナーを一瞬にして失くしてしまったという事実だけでも大変なことですが、ラーソン一族に対する、エバ(姓が長いので、ファーストネームで呼びます。)の葛藤の大きさも想像に難くありません。

記事のタイトルは、「故スティーグ・ラーソンのパートナー、なぜ彼女が遺稿を渡さないかを語る」です。

以下は記事の内容を意訳したものです。

エバは、2004年、ラーソンが急逝する直前に書きあげていたミレニアム4作目になるべく遺稿を所有しており、それをラーソンの父親と弟が経営するラーソン財団に渡すことを拒否している。現在、エバとラーソンの遺族の間では、この4作目をめぐる法的闘争が続いている。

エバは英国のミラー紙(Daily Mirror)に、ラーソン死後の作品の扱われ方が、故人の意思に反しているものだと語った。たとえば、スウェーデン語の原題は“Man som hatar kvinnor”であり、英語では”Men who hate women”(女を憎む男)であるべきところが”The Girl With The Dragon Tattoo”(ドラゴン・タトゥーの女)になっているが、そのような題をラーソンは決して認めなかったはずであるという。3部作全編を通してのテーマは、女性への偏見・軽蔑・暴力なのだから、と。

ラーソンの遺族は、故人が作品にこめた思いに対する敬意もなく、お金さえもらえればという態度であるが、思いをこめ、情熱をそそいだこの作品は、ラーソンだけではなく、わたし自身のものでもある。

 

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