【コロナ寄稿】戦争映画とコロナヒステリーのアナロジー(ケゾえもん)

ケゾえもんイメージキャラクター

「映画とコロナのアナロジー」

(文=ケゾえもん)
「日本の一番長い日」の1967年版と2015年版をざっとに見直した。友人が最近このふたつの映画を見たと言っていたので、また見たくなったのが動機である。


映画のタイトルと主人公

この映画のタイトルは連合軍のノルマンディー上陸作戦を描いた映画”the longest day”から取ったものだろうが、日本の終戦時の騒ぎがテーマである。主人公とも言える(私が勝手に言ってるだけ、異論あるのはわかる)阿南陸軍大臣を1967年版では三船敏郎、2015年版で役所広司が演じている。またまた私の勝手な意見ではこのふたつで一番目立つ違いは、2015年版ではもっくん演じる昭和天皇のセリフがふんだんにあるが、1967年版では昭和天皇は容易に話さないし姿はほとんど見せない。

映画のみどころ

この物語で一番おもしろい点は、天皇を守るべき近衛連隊がクーデーターの軍に変わってしまったという点だ。森近衛師団長を殺した椎崎中佐と畑中少佐が師団長印を使用して偽命令書を作成したことによりこれが可能となった。椎崎と畑中はこのクーデター(未遂)を契機として東部軍などの呼応を期待しつつ戦争継続を目論んだのだ。皇宮警察は武装解除させられ、皇居にやってきた下村情報局総裁などもあっさり捕まってしまい反乱軍の尋問を受ける。

さらにこの物語でおもしろいのが皇居(宮城)内にある筈の玉音盤(天皇が日本の降伏を宣言する録音)を捜索するも探しあてられないことだ。当然誰彼なくとっつかまえて今にも撃つぞという態勢できびしい尋問をする。普通なら誰かが突破口となって秘密は漏れてしまうものだがこの侍従、宮内省職員というのは全員官給品の宮内省防空服という紺色の同じ服を着ていて誰が誰やらわからなくなり、なさけなさそうに見えて「私などの様な下っ端は教えられていない」「よくわからない」と一本筋の通った曖昧さを発揮してどうにも捜索が進展しないのだ。そうパタリロのタマネギ軍団を想像してみれば良くわかると思う。(わからないか?まあいい)それで最後事態を聞きつけた田中東部軍司令官が駆けつけて、誰だ!と銃口を向け誰何する兵士に「東部軍司令官である!」と一喝して恐れ入らせるのは水戸黄門みたいで小気味よい。

ふたつの映画の台本共にこのおもしろさを存分に発揮しているとは言えない。この8月15日前後に発生したいろいろなエピソードが記録に残っているのだが両映画共にそれをすべて追おう、描こうというのに一生懸命になり過ぎて、上記のおもしろさを表現できていないと私には思われる。

映画とコロナのアナロジー

完全なアナロジーには無理があるが、この終戦直前の軍人たちの日本が降伏することなどあり得ない、二千万人を特攻で出せば必ず勝てるとヒステリー状態になる様は今のコロナヒステリーに通じるものがある気がする。

この終戦直前に「多くの人の命を救うために戦争を止めて降伏しよう」と言っても怒られるだけだったろうからヒステリー状態の人に道理を言っても無駄という点でアナロジーであろうと思う。だってさ、首脳会議の最中「長崎に2発目の新型爆弾が落とされました。被害は甚大です」と報告を受けても、「うわーそれではもうだめだ。つぎつぎに東京含めてこの爆弾を落とされたらどうなる!」って誰も言わないんだぜ。おかしいよね。

コロナ関連のあれこれには、やれやれと思うが

今のコロナ関連の事態については、今は精密な反論は控える。私だってどうなるかわからないところがあるからね。ただね、死者数無視、変異株に対する過剰な評価、免疫持ってるのにワクチンの愚、コロナが季節性であることに対してのことさらの無視にやれやれと思うのだ。しかしもう少し様子見してからコロナについては話題にしたい。

あのね、変異っていってもアミノ酸ひとつとかそういうレベルなんだからね。そりゃ前より少し扱いづらくなることはあるかもしれないけれど、コロナが数倍の強毒、季節に関係なく流行可能に変異できるかと言うと無理だと思うよ。コロナの身になって考えてみなよ。そりゃ無理だ。

(2021/4/21 ケゾえもん記)

■関連記事:【映画寄稿】「日本のいちばん長い日」予習用講義(ケゾえもん)



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