スウェーデンの宮川絢子医師より日本の医療システムへの提言

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宮川絢子医師の、読んでためになる長編記事を抜粋して紹介する。(5,100文字)

2021/9/16 追記:テレビ朝日「報道ステーション」(2021/9/14)で取り上げられたスウェーデンのコロナ対策の動画を挿入。インタビューに答える宮川絢子氏も登場!


2021/9/12 追記:「読者の声:宮川絢子氏に日本の政治家になってもらいたい!」


日本で長年の現場勤務を経て、現在はストックホルムの病院の医師として活躍中の宮川絢子氏が、両国それぞれの状況を熟知している立場から、「日本とスウェーデンの医療システムや国民の死生観には大きな違いがあるとしても、日本はスウェーデンの問題を他山の石とするとともに、長所に学ぶ機会でもある」として執筆した力作記事が公開された。

記事のタイトルは「コロナ医療を考える」だが、コロナ医療にとどまらず日本の医療システムについて全体的で詳細な分析や指摘がなされており、これからの日本の医療を考える上でも示唆に富んだ内容になっている。

詳しくは元記事を読んでいただきたいが、統計資料満載で一見お堅い記事なので、そういうのは苦手な方のために、ホクオ頭で理解し納得した箇所だけを、難しいことは飛ばして抜粋して紹介したい。

■元記事:
「コロナ医療を考える:スウェーデンの経験と日本への教訓」 — 宮川 絢子(2021.09.03 / アゴラ)

※以下はすべて記事内容の要約や抜粋。小見出しはホクオによるもので、引用文は原文まったくそのままではない箇所もある。

宮川絢子氏の主張

スウェーデンはコロナ禍における政策の特殊性から世界中から注目されてきたが、スウェーデンの状況は必ずしも正しく報道されているとはいえず、間違った報道により言われなき批判も多く受けてきた。

日本とスウェーデンには、ロックダウンを選択せず、国民の自粛に任せた数少ない民主主義国家であるという共通点があり、政策的には非常に似ているものの、日本における生命至上主義やゼロリスクの考え方はスウェーデンのそれとは一線を画しているため、多くの日本人がスウェーデンの政策に対してアレルギー反応を示した。

コロナ禍は各国の持つ脆弱性や問題点を表面化させたが、スウェーデンや日本においてもその例外ではない。平常時においては国民に優しい(言葉を変えれば過剰な)日本の医療システムが、危機に際しては非常に弱かったことは大きな問題であり、感染被害が非常に大きかったスウェーデンの医療システムがパンデミックにおいて柔軟な対応で凌いできたことに学ぶことはあると思う。

日本のコロナ禍における感染拡大は、スウェーデンのそれに比べれば非常に小さいものであったのにもかかわらず、日本の医療が逼迫をきたしたことは、日本の医療システムが以前から抱える問題点に原因があると考えられる。

宮川絢子氏の記事より

スウェーデンの現状

●2021年夏は、感染者も死亡者も非常に低いレベルで推移。各種規制緩和も行われ、国民はほぼ通常通りの夏季休暇を楽しんだ。

●7月1日からはEU内の海外渡航用ワクチンパスポートも導入されたため、スウェーデン国外で休暇を過ごす人も多かった(国内でのワクチンパスポート導入はされていない)。

●夏が終わった現在(2021/09/03)、感染者数は増加傾向であるが、重症者や死亡者は低いレベルにとどまっている。

スウェーデンがロックダウンを採用しなかった理由

●ロックダウンにはエビデンスがないから。

●ロックダウンは長期間持続可能な対策ではないから。

●ロックダウンは副作用が大きい対策であるから。

   ↓
各国が雪崩式にロックダウンを選択したにもかかわらず、スウェーデンはこれまで一貫してロックダウンを選択していない。

スウェーデンのコロナ対策

●第1波では空気感染よりも飛沫感染が感染経路として考えられていたため、ソシアルディスタンス、手指の衛生が感染対策の主軸であり、リスクグループの隔離が強調された。

●マスクには感染予防のエビデンスが乏しいとのことで推奨されなかった。

●リモートワークは推奨されたが、子供の権利を守り学校や保育園は閉鎖されなかった。

医療資源の確保のためにスウェーデンで行われたこと

●感染が拡大する前からICUベッドの大幅な拡張が行われた。平常時40床のICUが5倍の200床程度までに増やされた。

●ストックホルムでは中等症の患者を収容する600床の野戦病院が建設された。(これは結局使われることなく閉鎖された。)

●ICU増床に伴い、麻酔科看護師などを急遽教育しICUで働けるよう準備し、配置換えに当たっては220%の給与のインセンテイブをつけた。

●コロナ禍で休職中のSASの客室乗務員を再教育してICUの補助要員として勤務させるなど、大胆なリクルートが行われた。

ホクオ
航空会社の客室乗務員の話は知りませんでした。びっくりしました!

そもそも、スウェーデンでは日本より格段にタスクシフトが進んでいる。看護師外来や看護師の電話診療などが日常的に行われて、医師の仕事負荷を軽減している。専門看護師も各分野に存在している。日本では手術室一つに麻酔科医1人がいることが多いが、スウェーデンでは麻酔の維持は専門看護師が行う。

宮川絢子医師の記事より

スウェーデンでは患者の「たらい回し」は発生しない

●もともと国全体で医療資源を効率よく使うために、患者数やベッド数などの情報が中央で集中管理されている。コロナ禍でもふだん通りに地方自治体を超えて患者の移動が空路陸路で行われる。

つまり、自治体間の患者のやり取りがソフト、ハードともに存在。

●救急搬送の際、どの病院に搬送するのかは各病院のベッド状況により各地方自治体レベルで決められているため、救急隊が搬送病院を探す必要はなく、所謂、「たらい回し」も発生しない。

もともと日本の入院日数は世界最長!

スウェーデンでは少ないベッド数で多くの患者の治療を行わなければならないため、ベッドの回転を上げるために入院日数を短縮する努力が常になされている。

日本では、医学的に入院が必要でなくとも入院が長期になることは珍しくない。もし、スウェーデン程度に入院日数を短縮するとすれば、単純計算でベッド数が3倍になるということになる。

コロナ禍においても、医学的に入院が必要なくなった軽症者が少なからず入院している事実があるようだし、他国に比べて圧倒的に高い療養感染者における入院患者の割合を考えると、軽症者を過剰入院させている懸念がある。そうであるとすれば、軽症者の過剰入院により入院させるべき中等症や重症者が入院できるベッドが不足し、入院が必要な人が自宅待機を強いられる原因の一つとなっている可能性は否定できない。

宮川絢子医師の記事より
ホクオ
うーん、病人の立場だと、病院からすぐに追い出されるというのも辛いですけどね。

スウェーデン、未成年者のワクチン事情

スウェーデンでもワクチン接種は精力的に行われており、ほとんどの高齢者は2回接種を終了しており、若年者においては現在16歳と17歳の接種が進行している。

EUでは、12歳以上に対するmRNAベースのワクチン接種を承認しており、隣国フィンランドやノルウェーでもそれに従っているが、スウェーデンでは16歳以上である。子供たちは感染に関するリスクが低く、長期的な副反応がまだ明らかになっていない現状でベネフィットがリスクを上回るという判断がなされていない。他の国と足並みを揃えることをせずに慎重に接種年齢を下げようとする姿勢が窺え、これもスウェーデンならではのスタイルではないだろうか。

宮川絢子医師の記事より
ホクオ
16歳未満の子供を持つ身として、この慎重さはありがたいです。

スウェーデンが高齢者を切り捨てるというのは誤解

過剰医療を発生させない努力がなされているスウェーデンでは、国民も「人間はいずれ死ぬものだ。」という死生観を持っており、医療資源が無限ではないことも認識している。「救える命に医療資源を使う」ことが通常から徹底されており、それが国民のコンセンサスを得られている。

終末期における延命治療や、エビデンスのない検査や治療は、患者や家族の希望があっても元より行われることはない。

一方、通常、高齢者であっても治療に耐える体力があり、ある程度の生存を期待できるのであれば、大きな手術や、抗癌剤などの先進治療を日本以上に積極的に行っていることも事実である。つまり、多くの国で、「高齢者を切り捨てるのがスウェーデンの医療である」と報道されたことは誤解であり、言われのない批判にはスウェーデンの高齢者医療に情熱を捧げている身としては複雑な気持ちである。

宮川絢子医師の記事より

日本の医療システムへの提言(宮川氏の結びの言葉)

●平常時の手厚すぎる医療体制を見直し、危機に強いシステムを構築する。

●医療資源を中央管理とし、乱立する中小病院を統合し効率や柔軟性を上げる。

●受診回数や入院日数を減らすなど、無駄で過剰な医療は行わない。

●ゼロリスク信仰を止める。

国民にとっては今より不自由となるかもしれないが、国のリーダーは丁寧に説明し大鉈を振るってほしいと思う。ひいては、膨張の一途をたどる医療費を抑制し、別の意味での医療崩壊を食い止める効果もあるに違いない。

宮川絢子医師の記事より

読者の声:宮川絢子氏に日本の政治家になってもらいたい!

読者
元記事も興味深く読みました。このような医師こそ、ぜひとも日本に帰国して衆議院議員に立候補してもらいたいですね。今政治家になれば、間違いなく高市早苗氏よりも総理に近い政治家となるような高支持率を取れる人だと思います。

尾身茂氏は、恐らく宮川さんと同じことを認識しているにも関わらず、実現する力を与えられておらずフラストレーションを抱えているのではないでしょうか。政府に雇われている立場ですから言いたい放題言ったところで所詮政治家も行政も動かせないし、年齢的に政治家になることも無理ですし。

医療は民間資本主義の世界と違い、政治や行政によって大きくパフォーマンスが左右される分野です。宮川先生がロボット内視鏡手術において世界一の技術を持っていても、救える命は一生で数千人、もし日本の厚生労働大臣になれば救える命は数百万人になるでしょう!

おわりに:ホクオに響いた箇所

宮川氏は、スウェーデンの医療システムをそれに連動する政治とも絡めて考察しているのでそれについては元記事を読んでいただきたいのだが、ホクオは政治のことはわからない。ただ、今までも何度も言ったように、たまたまスウェーデンに住んでいて、欧米諸国ではスウェーデンだけがロックダウンをせずマスクも義務ではなかったために、コロナ禍の中でもコロナ前とほとんど同様に暮らせたことは幸運だったと思ってきた。それで、スウェーデンの政策についての以下の宮川氏の言葉が感慨深かった。

いかに批判を浴びようとも、他の国に追従することなく、強権発動を避ける意思表示が明確であったことは特筆すべきことであるように思う。

宮川絢子医師の記事より

「いかに批判を浴びようとも、他に追従することなく」という姿勢は、コロナに関係のない人生訓として胸に響くと同時に、貴重な情報やオピニオンを発信してくれる宮川氏の態度にも通じている気がする。

ホクオ
スウェーデンのコロナ事情に詳しい宮川絢子医師は、昨年、日本のテレビ局にも何度も呼ばれてリモート取材を受けたので、日本のお茶の間でもおなじみの存在になりました。当ブログにもいくつか記事があるので、ご関心のある方は、サイト内検索欄にキーワード「宮川絢子」を入れてみてください!

【追記】宮川絢子医師、2021年9月14日放送の「報道ステーション」にリモート登場

ホクオ
宮川絢子氏が、また日本のお茶の間に登場しました。


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