紹介してもらった本の紹介。
スウェーデンとフィンランドは、言語はまったく違うが文化はそっくりだ。しかし、教育システムは違う点も多く、スウェーデンで親をやっている者としては、フィンランドの方が断然よさそうに見える。この本は、親として日本の小学校も経験した著者が、フィンランドの学校教育の実情を紹介したもので、「 フィンランドの教育はなぜ世界一なのか (新潮新書)」というタイトルにずばり答える内容とは言えないかもしれないが、スウェーデンとも共通する北欧の学校事情が具体的によく描写されている。
フィンランドは、人口約550万人、北欧の地味な小国だが、2000年代以降、PISA(15歳児童の学習到達度国際比較)で、読解力や科学的リテラシーなどの多分野において1位を獲得し、世界一の教育と日本でも注目されるようになった。近年は幸福度も世界一となったフィンランド。その教育を我が子に受けさせてみたら、入学式も、運動会も、テストも、制服も、部活も、偏差値もなかった。小学校から大学まで無償、シンプルで合理的な制度、人生観を育む独特の授業…AI時代に対応した理想的な教育の姿を示す。
本文より
あとがきに書いてある「親としては、フィンランドでの子育ては、ストレスが少なく楽だった。私は受験勉強や偏差値、学力といったことに価値を感じない。学ぶことは、知的で楽しいことなのに、それが、画一的、権威主義的に行われるのは、とても残念なことだと思う。」のくだりには共感できるが、スウェーデンでまだ子育て真っ最中のホクオは、親子共にストレスが少なく楽なことが、将来、どのような結果につながるのかこわくもある。著者の24歳の息子は、仕事にもパートナーにも住居にも恵まれ、「良識のある、心優しい青年に育った」そうで、この親子にとってはいいことづくめだったようだ。