このコラムは2016年6月に別サイトで公開したものを移動したものです。
シンガーソングライターのTed Gärdestad(テッド・ヤルデスタード, 1956.2.18 – 1997.6.22)の歌を最初に聴いたのは、スウェーデン語学校の授業中でした。教科書に「太陽と風と水」の歌詞が載っていて、先生が曲を流してくれました。
スウェーデンの美しい夏を歌った曲で、夏になるとスウェーデン人なら誰もが思い出して口ずさむ、ノスタルジックな曲だそうです。この記事を書くために調べていて得た情報によると、2016年10月から出回る新しいスウェーデン硬貨には、この歌のモチーフがデザインされるとか。
わたしのスウェーデン語能力はいまだに低く、歌詞を味わいながらスウェーデン語の歌を聞くなんてレベルにはほど遠いのですが、この歌は、しつこいぐらい何度も「太陽、風、水」が出てくるので、なんとなくイメージが浮かんできます。それで、今ではわたしも夏になると、これが聴きたくなって「ソール、ビィンド、バッテン」と口ずさむのです。
Tedは、人気絶頂だった41歳のときに自ら命を絶ちました。そのためTedの歌は、「この人が・・・。」と、尾崎豊の歌を聴いているときと似た想いなくしては聴けません。生きていれば今、還暦を迎えたところです。
以下、ベストアルバムから数曲をご紹介します。Spotifyでも聴けますので、可能な方はぜひ、もっといい音質で聴いてください!
‟Sol, vind och vatten”
「Sun, wind and water(太陽と風と水)」(Sol〈ソル:太陽〉, vind〈ヴィンド:風〉 och 〈オ:and〉vatten〈ヴァッテン:風〉)
スウェーデン語の歌詞と英語の対訳はこちら。
http://lyricstranslate.com/en/sol-vind-och-vatten-sun-win-and-water.html
‟Himlen är oskyldigt blå”
「The sky is innocently blue (空は無邪気に青い)」
スウェーデン語の歌詞と英語の対訳はこちら。
http://lyricstranslate.com/en/himlen-%C3%A4r-oskyldigt-bl%C3%A5-sky-innocently-blue.html
‟För Kärlekens Skull”
「For the sake of love(愛のために)」
スウェーデン語の歌詞と英語の対訳はこちら。
http://lyricstranslate.com/en/f%C3%B6r-k%C3%A4rlekens-skull-sake-love.html
‟Satellit”
「サテライト」は、1979年のメロディフェスティバル(スウェーデン版紅白歌合戦)優勝曲で、動画はそのときのもの。
スウェーデン語と英語翻訳の歌詞はこちら。(このサイトでは、同ページに対訳ではなく、どちらか選ぶ形式。)
http://4lyrics.eu/other/ted-gardestad-satellite/
‟Jag vill ha en egen måne”
「I want a moon of my own(僕だけの月が欲しくて)」は、いっしょに音楽活動をしていた兄(作詞担当)が、弟の死後8年後に出版したバイオグラフィーのタイトルにも使われています。
終わりに、Tedについて書かれた英語のウィキペディアもご紹介しておきます。https://en.wikipedia.org/wiki/Ted_G%C3%A4rdestad
スウェーデンは南北に長く(1,600キロ。日本の本州は1,500キロ。)、かなり南寄りにあるストックホルムは、完全な百夜にはなりませんが、この時期、夜の11時過ぎまで明るくて、少し暗くなったと思ったら、午前2時過ぎには、小鳥がさえずり始めてもう明るくなってきます。学年末で、子供も大人も長い休暇前でもあり、1年の中でも、もっとも人々が浮かれている季節です。6月の始めには街中を騒がす卒業式のパレードが、連日、あちこちの高校であり、それからは子供も大人もすっかり夏休み気分になって、夏至祭の頃まで、ずっとお祭りムードが続くのです。(7月になると、完全に夏休みになって、人々は、バケーションに出かけるので街は静かになる。)
Tedの命日は、その年の夏至祭(ミッドサマー・デイ)の翌日でした。この美しい季節に、彼はどんな気持ちで電車に身を投げたのでしょうか。
この記事は、フジファブリックの志村正彦のことを教えてくれた人に、とくに読んでもらいたくて書きました。Tedの歌、どうですか?
2016年6月2日木曜日、気持ちのよい夏日に、Tedの歌を大音量で聴きながら自宅にて、記。