オーディオ談義に話を戻すけれど、やはり私が目指すのは原音であろう。
原音とはコンサートホールで聞こえる音という意味になるが、厳密な定義は難しいと思う。
だって前の記事で言ったように同じコンサートホールでも、席によって音が良かったり悪かったり。
すると「この私がコンサートホールの良い席で聞いていると自分で錯覚するような良い音」を目指そうというのが私のオーディオ道と言ってよいか。
しかし音の物理エネルギーってのはちっぱけなものである。
それをマイクロフォンでひろって、アンプで増幅して磁石と電磁石の組み合わせで紙を揺らして音を出すってのがオーディオのしてることで、これで原音なんて出るわけがない。
そこんとこ割り切りながらやらないと音量の大きさで迫力ばかり追求したり
同じことだが、でっかいスピーカーとか高出力のアンプをむやみに欲しがったりしてしまう。
私が求めるのは、超ナチュラルサウンドでこないだ説明したドンシャリとは正反対に位置するものだ。
と言ってもそれもけっこう感覚的なもので本当に説明するのは難しい。
一例をあげよう。私の目指すサウンドだとスピーカーは絶対ワンウェイになる。ワンウェイとは・・・・あっとここでスピーカーユニットとスピーカーエンクロージャーという言葉をおぼえて欲しい。
ユニットとはスピーカーについている丸い形の音の鳴る部品のことである。
一方エンクロージャーとはスピーカーの箱のことである。
一般にスピーカーというとスピーカーエンクロージャーにスピーカーユニットがついているもののことを言う。はい説明終わり。
従ってワンウェイとはエンクロージャーにユニットが1個だけついているものを言う。
一方、たとえば3ウェイとはエンクロージャーに3つユニットがついていて、ひとつが低音用、ひとつが中音用、そしてもうひとつが高音用とわかれていてワンウェイより周波数特性については有利である。
ではお金があれば3ウェイを買うべきであろうか?さにあらず、さにあらず。
私が大学を卒業して母校の助手になり初任給で買ったのが、ヤマハのNS-1000mという3ウェイのスピーカーである。すばらしい音がした。これは大事にして5年ほど前にたくさんのオーディオ機器を中古オーディオ屋に売った時まで私の手元にあった。
すばらしいNS-1000mだったがやがて使わなくなってきた。
長岡鉄男設計のスワン(ワンウェイ)とかタンノイのスピーカー(デユアル・コンセントリックと言ってワンウェイの性質を有す)なんかが私のメインスピーカーになってしまったからだ。一時期はヘッドフォンで聴いていたし。
NS-1000mを中古オーディオ屋に売り飛ばす前に、一応私はその音を聞いてみた。
なるほど良い音だ。だけどワンウェイを長年聞いてきた私にははっきりわかる。やはり三つのユニットから音がばらばらに聞こえてくるのだ。
だってみっつユニットがあるんだもの、当たり前だ。
ここで覚えて欲しいこと。
ナチュラルサウンドをめざすなら、スピーカーはワンウェイにかぎる。
2020年8月11日、ケゾえもん記
冒頭イメージ画像:「YAMAHA NS-1000M オーバーホール済 新品オックスブラッド塗装」税抜き495,000円で売り切れ御免の商品。(出典)