(最終更新日:2020年1月12日)「七号食」をやってみると周りに言いふらして始めたのに途中でやめた。なんでやめたのかをみんなにいちいち話すのが面倒なのでここに書く。(1,800文字)
七号食とはなにか
「七号食」とは、ホクオもほんの2週間前まで知らなかった妙な言葉だが、巷でよく耳にするマクロビオティック、略してマクロビ健康法のひとつで、10日間、ひたすら玄米ごはんだけを食べるというもの。ごま塩、梅干し以外は一切だめだが、玄米ごはんならどれだけ食べてもよい。アルコールやカフェインの入った飲み物もだめ、玄米麹で作られた甘酒は可。
なぜ七号食を始めたか
二年ぶりに持病のアトピーが重症化して二週間ほど地獄を見たあと生還したときに人から教えてもらった。地獄は脱したがまだ症状が残っていたのでなんとかしたかった。
●ちょうど明日から11日間の冬休み。
●3年前に苦労して日本から持ち帰った、寝かせ玄米を炊ける高級炊飯器が倉庫に眠っている。(炊飯器と変圧器で10万円もした上、変圧器がやたら重い。)
●「断食道場」を経験した人が周りに数人いて、身体のデトックスに興味があった。
と三拍子そろって、即決。
七号食はどうだったか
空腹は感じなかったが、食べる喜びのない毎日はつまらなかった。
いろいろ読み漁った体験記に書かれてあるようなポジティブなことはどれも感じられず、アトピーは「変化ない〜悪化」の間を行ったり来たり。それで七号食の効果に否定的な証言もあるんじゃないかと思って探したが、これが見つけられない。途中で挫折したという人はいても、やってみたけどよくなかったとか別にぃというのはなかった。
それほど大きな苦痛もないが、なんの効果も感じられないまま10日間のうちの7日間が過ぎて、「あと三日」というカウントダウンモードに入った。ここまでやったら今さらやめるという選択肢はない。最後の三日間で、人々が口々に言っている素晴らしい体験ができるかもしれないし、たとえこのまま何も感じなくても、10日間やりきらなくては効果がなかったという資格もないだろう。
こうして8日目が粛々と過ぎた。
なぜ七号食を途中でやめたか
9日目。アトピーがとてもひどくなった。痒くて発狂しそうになっているのに、同居人が同情もしてくれない。玄米信仰をみじんももたない西洋人は、最初から「炭水化物だけをひたすら食べる健康法」に対して懐疑的だったので、そんなので治るわけないじゃん、という冷たい顔。
そんな同居人に最初は気を悪くしたが、次の瞬間、急にアホらしくなった。食べる喜びを捨てて得るものがないのに、なんでこんなことやってるのか。
「七号食、もう、やーめた!」
宣言したとたんに、この選択が正しいと悟った。
目が覚めた。
ケゾえもんが言っている、周りに流されず自分の頭で考えろってこういうことだったのか。自分の頭で考えていないのは人ごとだと思っていた自分が間抜けに思えた。
人々が従っている黄金ルールがあると思うと守りたくなるし、守れば何かいいことがありそうな気がする。逆に守らなかったら何か悪いことが起きそうな気がする。
七号食を中途止めしたあと
七号食が終わったあとの黄金ルールは、「回復食」を食べるというものだ。長い間「ふつう食」を食べていない胃をびっくりさせないように、翌日は玄米ご飯に「具の入っていない味噌汁(出汁に鰹などの動物性はNG)」、その翌日は味噌汁に野菜の具が入ってもよい、とこのようにそろりそろりと徐々に「ふつう食」に戻っていくべしとマニュアルには書いてある。当然、カフェイン解禁も数日後である。
「七号食」を最初から5日間とか7日間だけと決めてやる人もいる中、中途止めしたとはいえホクオは丸8日間もやっている。
しかし「もう、やーめた」あとは、自分の頭で考えて自己責任のもと、回復食を経ずにいきなり食べたいものを食べた。恋しかったコーヒーをマグカップで二杯飲み、実家から送られて来ていたバウムクーヘンは三切れも一気に食べた。ホクオの胃はびっくりしたかもしれないが、悪いことは何も起きなかった。
食べることの喜びや楽しみを思い出しながら、10日間のうちの最後の二日間を得したような清々しい気持ちで過ごした。
七号食をオススメしないわけではない
さきほど述べたとおり、「七号食」を絶賛する人は星の数ほどいて、これで人生が変わったという人さえいる。実際にやってみてこの食事法を否定する気はないし、さもありなんとも思う。少なくとも、玄米ごはんだけしか食べられないと食欲はなくなるので体重を減らすのには確実に効果がありそうだし、ホクオもおかげで年末年始の暴飲暴食とその結果としての体重増加を免れた。
ただアトピーに関しては、ホクオの場合は心身症のような気がする。経験上、なにを食べるかの違いは微々たるもので、もっともパワフルな決定要因は深層心理にある。もっと簡単な因果関係のある要因があればそれに越したことはないのだが、今のところはこの説が覆されていない。