2020年11月11日付、ケゾえもん寄稿3,000文字。シリーズその1はこちら。
(文=ケゾえもん)
さて紀元ゼロ年、ローマ時代にタイムスリップした私は皇帝アウグストゥスに気にいられて剣闘士大会でオーロラビジョンを実現するミッションを託される。
与えられた予算は無尽蔵!
私はローマのガラス職人のところに行って、乙レンズ凹レンズそしてプリズムの図面を書いて見せ、なんとか作ってもらう。
そして別の職人のところにレンズを持って行き、ガリレオ式望遠鏡を2万機作ってもらう。ただし設計図は私が書く。
ただのお話だから簡単にそんなことできると言ってしまう。
ガリレオ式望遠鏡はただのガリレオ式望遠鏡ではなく接眼レンズの後ろにプリズムを仕込み、いろいろな方法があるが・・。たとえばすりガラスに投影する。
または暗箱を接続してその中に投影する。
とにかく望遠鏡で見たものをプリズムで7色の光の帯に分解できるようにする。この望遠鏡を1万台作る。
他に望遠鏡の接眼レンズの後ろに・・これはすりガラスがいいかな?
すりガラスを置いて、明暗だけ見えるようにした望遠鏡を1万台つくる。
明暗を見るためにはわざとピントをぼかしてすりガラスに投影するのが良いかもしれない。ここらへんは試行錯誤が必要だろう。
いや、やはり明暗を判定するのだから、すりガラスにするにしても暗箱つけて覗き込むって方式がいいだろうな。
さてコロッセオの観客席の一角にステージを作る。
そのステージは1メーター×1メーターの枠で囲まれている。
そして白い板を置く。板には縦に100本横に100本線が引いてある。
したがって1マスは1センチ×1センチ。
そして各マスに名前をつける。たとえば1の1マスとか、15の56マスとか。
それで絶対位置を指定できる。ローマ数字ではややこしくなって不適当なのでローマ人にアラビア数字を教え込んだ方がいいかもしれない。
各マスに例の望遠鏡で狙いをつける。どこから狙いをつけつけるかはその時考える。なんせ2万台の望遠鏡でそれぞれの1センチ四方のマスを狙うのだから大変だ。しかし大変なのは承知だ。私はがんばる。
各マスには1台のプリズム望遠鏡と1台のすりガラス望遠鏡が狙いをつける。
プリズム望遠鏡をみると7色が見える。すりガラス望遠鏡を見ると明暗が見える。
プリズムの7色から赤、青、緑がどの割合で入っているか判定する。
それぞれの色を9段階評価とする。たとえば赤っぽい被写体だと「赤9 青1 緑1」みたいな評価になるかもしれない。
この評価を「色評価」と名付ける。
人間の感覚は鋭敏なものだ。プリズムの7色を見てたちどころに色評価できる人間を1万人養成する。かれらを「色評価士」と呼ぼう。彼らには高給が保証されている。
つぎにすりガラス望遠鏡を使い明暗を判定できる「明暗判定士」を1万人養成する。
さきほどのステージ上に合計2万台の望遠鏡が狙いをつけている。
すでに望遠鏡はしっかり固定されているので、100×100の網目が書いてある板はどけて、青い板とか赤い板を代わる代わるステージ上に立てて置く。
最初は赤い板を置こうか。
さて2万台の望遠鏡がステージ上の赤い板に狙いをさだめている。指令役の男がなにかを掲げて「データーを抽出せよ」とタイミングを知らせる。色評価士と明暗評価士が数字を小声で言う。(小声で言わないと収拾がつかなくなる)とすぐ後ろのやはり訓練された男がプラカードにその数字を書いてコロッセオの観客席に用意された2万人のマスゲーム要員に見せる。
マスゲームの区画は100×100で1万区画あり、1区画の中に2名が入っている。1区画1名にしたいところだけど人間の手は2本しかないのでやはり2名じゃないとまずいのだ。この場所を「スクリーン」と呼ぼう。
スクリーン上にいる全員は目がよい必要がある。(視力3.0以上)奴隷として連れてこられたアフリカ系の人間が適任かもしれない。ローマにはいろいろな人種がいる筈だ。遠くの自分のマスのプラカードを読みとり、1名が赤、青、緑の用意されたプラカードをすばやく手にとり(1色について面積を変えて9種類)扇型に掲げる。もう1名は「白ー灰色ー黒」まで9段階のプラカードをやはり遠くの指示プラカードに従って掲げる。このスクリーン内にいるもの全員は黒子の衣装にさせた方が良いかもしれない。
とにかくステージ上に赤い板が掲げられたらスクリーンが真っ赤になる必要がある。ステージ上に青い板が掲げられたらスクリーンはまっさお。
ここで応用で黄色い板ならスクリーンがまっきいろだと大成功。
大成功になるまで各種調整を行う。とにかく訓練、訓練だよね。そして調整につぐ調整。
繰り返しのキャリブレーションを行うので望遠鏡の品質にばらつきがあってもかまわない。そのばらつきは色評価士と明暗判定士が吸収するわけだ。うまく行くようになったら、こんどはステージ上に人間を立たせてスクリーン上にその人間が映るか試す。なんせ1万画素だからね。うまく行く可能性はあると思いますよ。参考資料として北朝鮮のマスゲームを示す。空手の動画を実現させている。
私はこれの上を行くマスゲームを実現させようというのだ。
私の実行しようとしている、方法では動画は実現できるであろうか?
訓練に訓練を重ねてスピードアップを極限まで計れば3秒に1コマくらいいけるのではないだろうか?もちろんなめらか動画は無理だ。高望みはしない。
それから注意して欲しいのはステージ上の人物は前後には動けない。
板のあった場所の平面上にいないといけない。そこから前後にずれると画像にならなくなる。
しかし力技でローマ時代にカラーテレビを実現させちゃったものね。
テレビドラマJINでは江戸時代にタイムスリップした主人公が、簡単な青かび選択実験を経てペニシリンを作り、精製も簡単に成功させて持ち歩きできる粉末を作りだしていたぞ。
それよりまだ実現性は高いと思っている。
ただし、この方法の欠点は一マスが1センチ×1センチということ。
この1センチ四方のマスに望遠鏡が狙いをつけられるか?ということ。よっぽど望遠鏡の倍率を高くしなければならないしそうするといろいろなことが相当シビアになるだろう。
これが10センチ四方なら楽なんだけど。
なぜ1メーター×1メーターの舞台にこだわるかというと1メーター四方だと1万画素あれば前回記事の中谷美紀くらいの表現力が出る。ところが10メーター四方で1万画素だと以下のアップル新商品発表写真を1万画素写真にしてみた例みたいに画像に面白みがなくなってしまう。
北朝鮮のマスゲームでは数千画素で高画質を実現している例もあるけど
これはずるをしている。1画素は画素ではなく写真の切れ端。
しかし根源的な疑問が・・・
偉大な指導者の写真を数千ピースに切り刻むことがこの国でどういういきさつでゆるされたのだろうか?
それにしてもこのマスゲームで失敗して欠けを作ったら大変だよね。私は絶対やりたくない。
なにが言いたいのかって?
ちゃんと人工頭脳に話はつなげます。
ではまた。
<続く>
(2020年11月11日、ケゾえもん記)
北朝鮮のマスゲームYoutube
本記事内画像の出典はこちらの動画。(7分40秒)