ノーベル化学賞を受賞した吉野彰氏が、2019年12月7日土曜日、夫人を伴いストックホルムの日本人学校を訪問し、小学1年生から中学3年生の生徒たちに向かって日本語で講演した。
「わたしの研究に対してご褒美をいただけるということで、喜んでストックホルムやってきました」とにこやかに語り始めた吉野氏は、一昨日、ストックホルムに到着し、明日からの怒涛のスケジュールを控え、本日はゆっくりできるとのこと。
1981年、入社9年目の33才のときに始めた4つ目の研究がリチウム電池、「つまり最初の3つの研究はうまくいかなかったということです」だそうだ。その後に続いたリチウム電池についての講義は、大人にも高度な内容だったが、生徒たちは約30分間、おとなしく話を聞いていた。
12月9日ノーベル講演の大予告
1995年に起きたIT革命(ICT革命、第三次産業革命)によってもたらされた現在のモバイル社会は、もし、それより前の時代に、将来そんな時代が来ると言う人がいたとしても、誰も信じられなかったほどの劇的な変化であった。そして現在もまた次の変革が起こっている最中であると吉野氏。
吉野氏によるとこの変革は、2025年には具体的なものとなり、2030年には一般の人たちにも感じられるものとなる。未来の社会が一体どんなものになるのかについて、あさって(2019年12月9日)のノーベルレクチャーで発表することを「こんなこと言っちゃっていいのかなぁ」とつぶやきながら生徒たちに向かって話した。その内容は、リアルタイムで公開される6-7分の中継動画で聞けるらしい。
吉野彰氏より子供たちへのメッセージ
世界が変わるときは、絶好のチャンス!
吉野彰
吉野彰氏、子供たちからの質問に答える
●小学4年生女子からの質問:「あと何年ぐらい研究を続けたいですか。」
★吉野彰氏の回答:「共同研究者のジョン(ジョン・B・グッドイナフ)は97歳、わたしは71歳ですからあと20年は続けたいですね。」
●小学4年生男子からの質問:「研究は楽しいですか?」
★吉野彰氏の回答:「基本的にはしんどいですよ。(笑)しんどいですけど楽しいです。しんどいと楽しいの繰り返しが楽しいです。」
※質問したい生徒が書いた質問が集められた質問箱の中から、吉野彰氏が無作為に選んで回答した質問が、全部で4つあった中から抜粋。
吉野夫人もひとことあいさつ
「ストックホルムは暗いですね。こんなに暗い中でみなさんがんばってお勉強されているんですね。(一同笑い)でもストックホルムは、本当にきれいな街ですね。」と、同伴の夫人もマイクを持ってひとこと。吉野彰氏は、京都大学在学中に、考古学サークルで京都女子大学生だった夫人と知り合った。
ストックホルム日本人学校
ストックホルム日本人学校は、スウェーデンに在住する日本語を話す子供たちのための土曜日だけの補習学校。ストックホルムの中心に位置するEnskilda高等学校(冒頭の写真)の校舎を借りて、毎週土曜日の午前9時から午後2時まで、日本の文部省から支給される教科書を使って国語と算数の授業が行われている。
おまけ:本日のノーベル賞級キャラ弁大賞!
ストックホルム日本人補習学校の昼食は各自お弁当持参。今日のお弁当にこんなの持ってきている生徒が!
キャラ弁達人母Ayumi Vibeniusさんの作品。Instagramのこのページで他の作品も見れる。
(本記事中の写真の出典:ウィキペディア)