スウェーデン語の語学学校での授業中のこと。
「10年後の自分はどうなっていると思いますか? たとえばどんな家族をもっているでしょうか。グループで話し合ってください。」
という時間がありました。
わたしのグループにいた写真のマイケル、25歳の独身者。
「奥さんふたりで、それぞれに子供が二人づつ。子供は全部で四人だな。」
と言います。
冗談かと思ったら、まじめなのです。
「君は夫がひとりだけ? なんで? もうひとりどう?」と。
マイケルのお父さんは、三人の妻を持ち、それぞれに子供がひとりづついるそうです。
自分の母親が45歳、腹違いの弟は15歳でその母が40歳、さらに腹違いの妹10歳がいて、その母が35歳。
お父さんが、いちばん若い妻の家に3泊、次に若い妻の家に2泊、自分の母の家に1泊すると聞いて、なんとわかりやすい!とわたしは感動します。
「家族がたくさんいて楽しいよ。なんの問題もなし!」
というので、「奥さん同士も仲いいの?」と興味本位で聞くと、「ううん!悪い。」と、明るくカラカラ笑って答えます。
もうひとりケニアからの女性がグループにいたので、わたしは聞きました。
「じゃあ、あなたのお父さんには奥さんが何人?」
「ひとりだけ。」
なんだかほっとしつつも、「どうして?」と聞くと
「貧乏だったから。」
それが当然の理由だと言わんばかりで、聞いていたマイケルも、うんうんとうなずきながら、「ぼくの父さんは、会社を経営していて、お金があるんだ。」と。
「一夫多妻制」ということばは知っていても、実際にその文化にこうして触れるというのは、また違う感覚で、自分の知っている「ふつう」が、いかにいい加減なものかを考えさせられた時間でした。